映画感想 - ハンティング・パーク(2016)
ハンティング・パーク
★★★☆☆
【あらすじ】
銀行を襲って現金を奪い、ついでにそこにいた町娘ヴィヴィアンを誘拐して逃避行を続ける通称「サソリのジョー」だったが、突然タイヤがライフルで撃ち抜かれてパンク。しばらく周囲の様子を見ているとジョーも撃たれてあっけなく死んだ…!
ジョーが死ぬ前に車のハンドルに手錠でつながれていたヴィヴィアンだったが、突然でかいライフルをもった軍人らしきおっさんが現れ、クロロホルムを嗅がされて気絶させられてしまう。そして目がさめるとそこは「カーネイジパーク(虐殺公園)」であった!どうやらここはさっきのイカれた元軍人ワイアットが仕切る領域で、罪も無い人々を拉致して虐殺を楽しむ公園のようだ。奇妙なサイレンが鳴り響き、どこからともなくスナイパーライフルで狙い撃ちにされる!ヴィヴィアンちゃん一体どうなるの〜!
【感想】
「未体験ゾーンの映画たち2017」にて。70年代の雰囲気がスタイリッシュでカッコイイ、インディーホラー。前半は非常にテンポよく進みつつも、その間に展開される音楽、バラバラな時間軸、映像、ファッション、キャラメイキング、オープニングクレジットと、随所に監督のセンスが光る非常にクールな開幕であった。キャラが濃い〜サソリのジョーとスクリーミングガールのヴィヴィアンの掛け合いもなかなか面白く、このまま二人でカーネイジパークをくぐり抜けるドタバタ珍道中かと思ったらあっさりジョーが殺されてしまうという大胆な方向転換も楽しい。逃げようとするヴィヴィアンを銃で脅しながら「銃だけがお前の聖書だ。そこにはこの一文だけが書いてある。”逃げると頭を撃ち抜かれる"だ!」みたいな名言もあったんだけど、こんなかっこいい言葉あります!?クールすぎでしょ!
中盤は運悪く巻き込まれたヴィヴィアンがイカレ軍人ワイアットの魔の手から逃れる展開に。70年代風な可愛さで叫びまくって非常に頑張って逃げる逃げる。道中は様々な死体やトラバサミに引っかかって死にかけてるおじさん、磔の刑に処された人など、ヴィヴィアンと同じ境遇に陥った人々の末路をたくさん目撃するんだけど、終盤から異常に失速していったのが残念だったな〜。地下道のシーンがちょっと長すぎ!暗いし!中盤までのセンスはめちゃくちゃ良いし、顔面破壊などのゴア描写にもかなり力入れてて良かったのに〜!サソリのジョーは悪役なのにどこか憎めないところのあるので、終盤まで生き残って欲しかったぞ。
【予告】
【エンディングテーマは必聴のばりしぶ楽曲】
映画感想 - テイキング・オブ・デボラ・ローガン(2014)
テイキング・オブ・デボラ・ローガン
★★★★☆
【あらすじ】
医学生のミアは、アルツハイマーに関するドキュメンタリー映像を制作するために撮影クルーとともにデボラ・ローガンというおばあさんを取材することにした。一人娘のサラとともにしずかに生活していたが、次第にその症状はアルツハイマーというくくりでは説明できないレベルになっていく。一体何が起きているのか…?
【感想】
↑こちらがデボラ・ローガン。かわいいばあちゃんですね。それなのに…
夜中に素手で土を掘り起こすのはやめなさい!
全裸で昔やってた電話交換手の仕事を思い出すのはやめなさい!
一瞬でキッチンの上にワープするのはやめなさいって!
…みたいな感じで、どんどん豹変していくのがかなり恐ろし面白かったです。「スペル」「ヴィジット」などやばいババアは過去にたくさんおったが、こちらも負けず劣らず素晴らしいヤバさでした。結局のところ悪霊に取り憑かれているという流れになりつつも、ランダムに運悪く憑かれたわけではないのがポイント。憑くべくして憑いたとでも言うような過去の因縁があってその辺りをしっかり描いているのがかなり良かったなと思います。この手の憑き物映画って理由なく取り憑かれるパターンが多いからね。しかし何でもアルツハイマーの症状で片付けようとする医師はすごい。呪いの影響でありえないぐらいの量の土とミミズを吐いたのに、「庭の土食ったんですね」で片付けようとする豪胆さ。そんなわけねーだろ!
↑のような奇行が目白押しでかなり楽しいものの、終盤のたいへん衝撃的なシーンが、タイトルで画像検索するとめちゃめちゃ出てくるので願わくばメインディッシュは頑張って回避した上で見た方がさらに楽しめるかと思います。一回見たあとに巻き戻してそこだけもう一回見る程度には名シーンでした。ちなみにPOVということで案の定画面がブレたり大事なところをあまり見せない消化不良なシーンは多いけど、POVは最早そういうもん。そこでイチャモンをつけるのはやめなさい。通常の時とやばい時のギャップがものすごく、鬼気迫る演技で盛り上げてくれたババアに、私から「がんばったで賞」をあげたいと思います。
【予告】
映画感想 - ゾンビ・サファリパーク(2015)
ゾンビ・サファリパーク
★★★★☆
【あらすじ】
ゾンビウイルスが蔓延し20億人が犠牲になった人間VSゾンビの戦争から7年。人間たちは徐々に復興に向けて動き出していた。そんな中、人里離れた海の孤島を高級リゾート地にし、そこでゾンビをライフルで撃ちまくれるハンティングアミューズメント施設が誕生した。ゾンビ戦争にトラウマを抱えるメラニーは恋人のルイスとともにそこに出向き、ゾンビと対峙することで克服しようとしていた。他にも娯楽のためにやってきた少年二人組、やけにライフルの腕前がすごい謎の男や前夜にスタッフ専用施設へ忍び込んだ女などとチームを組んでハンティングを楽しんでいたが、大方の予想通りセキュリティシステムがシャットダウン。少しずつ安全地帯にゾンビが入り込んできてしまった。一体どうなる!?
【感想】
「未体験ゾーンの映画たち2017」にて(今月7本)。原題は「THE REZORT」で、ポスタービジュアルもそれらしい感じなのに対し、日本版は邦題とキービジュアルがこんなんなので、てっきりコメディ要素満載なのかなと思ったら意外にもかなりシリアスに作られていて「さあ笑わせてもらいましょ!」的な意気込みで見始めたもんだからかなり温度差を感じてしまいました。事前知識無かったらギャグと思うだろ!そういうのやめてくれよな!とはいえ、バカバカしい設定にも関わらずひたすら真面目に作り込んで救いの無い展開と完成度だったのでそれはそれで楽しむことができました。今回だけは許すぞ。
ゾンビの性質が、「新米ゾンビは足が速く、時間がたてばたつほどスローになっていく」というのが基本的なロメロゾンビと「ドーン・オブ・ザ・デッド」や「28日後…」に代表されるダッシュゾンビの両方がいるのがちょっと新しくてよかったですね。中盤以降はリゾート客が大量にくわれてほとんど猛ダッシュゾンビばっかりになってたけど、それもまた緊迫感があってよし。メインキャストに対してもけっこう非情で、バッタバッタと死んでいくのも潔かったなあ。セキュリティスタッフも「何かコンピュータのバグあるけど、昼までに直すからボスには黙ってて」と言う感じで「あーあー絶対これフラグだ!」とつっこみたくなる分かりやすい展開もグッド。そして何故こんだけゾンビがわんさかこの島にいるんだという謎も人間の強欲と結びついて「真に滅されるは人間」というメッセージも込められていました。有名俳優は出てないけどみんな迫真の演技で盛り上げてくれるし、割と良いところ多いです、こんな邦題だけど…。ちなみに日本版ビジュアルみたいに海まで襲ってくることはありません。
【予告】
映画感想 - ファウンド(2012)
ファウンド
★★★★☆
【あらすじ】
B級ホラー映画好きな少年マーティは学校ではいじめられており、グロテスクなグラフィックノベルを描くことと、家族の秘密を覗き見することが趣味だった。母親はベッドの下に元彼のラブレターを隠している。父親は車庫にエロ本を隠している。そして両親と仲が良くない兄のスティーブは、部屋に本物の人間の生首を隠している。
その生首はたいてい黒人の女で、定期的に入れ替わる。マーティには特に優しいスティーブは、いじめられて早退した日も「やられてばかりじゃダメだ。殴り返せ」と助言する。しかしマーティは兄の本当の姿を知っていた…。
【感想】
「未体験ゾーンの映画たち2017」にて。長編デビューのスコット・シャーマーによるホラー映画。役者も無名、映像の比率も16:9ではなく4:3ぐらいで、カメラワークや映像の質感に若干安っぽさが目立つものの、終盤は全く気にならなくなるぐらいアイデアが光るホラーの良作でした。一見すると「兄弟の絆」と「マーティ自身の心の成長」を描いたヒューマンドラマっぽいけど、結末にいたるまでの凄惨さと衝撃的なラストカットが強烈に印象に残るので最終的にはホラーとして脳裏に刻まれるなこれ…と思わされました。
マーティとその友達が兄の部屋から借りてきた1978年製のC級ホラー映画を見るシーンでは女が無残に切り刻まれ、血を浴び、生首でシコるなどの変態的シーンをふんだんに詰め込みながら、終盤のマジのやばすぎるシーンではあえて音と声とマーティの泣き顔だけでそのむごさを想像させるという「見せるグロ」「想像させるグロ」が絶妙なバランスで配分されており、ここが低予算ながらもアイデアが素晴らしいところかなと。件のシーンではLive Leakのホンモノのグロ動画を見ながらラーメンをすすれる私ですら「こんなもん声だけでじゅうぶんや…」と思っちゃいましたしね。そしてその後のたった数秒だけのラストカットは、「屋敷女」を超えるほどのトラウマもんでした。こんな悲しい兄弟愛ある!?ホラー好きは必見です。
【予告】
映画感想 - フリークス・シティ(2015)
フリークス・シティ
★★★★★
【あらすじ】
ご当地グルメ「リブレット」が自慢の平和な田舎町ディルフォードは、人間とヴァンパイアとゾンビが平和に暮らしていた。そんな中、突然エイリアンが襲来!しかし「ヴァンパイアがこの宇宙人を仕向けてきたんだ!ヴァンパイアを殺せ!」と奮い立つ人間と、「人間が仕向けたエイリアンか!?受けて立つ!」と迎え撃つヴァンパイア、そして脳みそ食べたいゾンビたちが三つ巴で抗争が勃発してしまった!さらにそこに襲いかかるエイリアン!この広げすぎた風呂敷、一体どうなるの〜!?
【感想】
「未体験ゾーンの映画たち2017」にて。ヴァンパイア>人間>ゾンビの順でカーストが敷かれている街という設定が何の説明もなくむしろ当たり前みたいになってる時点ですでにお腹いっぱいなのに、さらにそこにエイリアンが襲来してくるというとんでもないストーリーラインなんだけど、最高に笑えて楽しいミラクル的傑作でした!!は〜〜〜〜〜おもろ!!!恐ろしいほどホイホイとテンポよく進んでいくストーリーと魅力的で分かりやすいキャラクターたち、5分に1回笑えるギャグシーンと詰め込み放題で大きく風呂敷が広がりまくるにもかかわらず序盤の伏線を大胆に回収しまくって気持ちよくまとまるのが痛快すぎだったな〜。いや〜ドラマシリーズ化してほしい!ずっと見ていたいから!
ストーリーは、好きな人に好意を伝えられない「人間」のダグ、イケメンヴァンパイアに遊ばれた挙句、噛まれて自分も「ヴァンパイア」になってしまったペトラ、そして頭は良いが人生どうでも良くなってわざと「ゾンビ」に噛まれたオタクのネッドの同級生ズッコケ三人組が中心となってあらすじに書いた流れでドンチャン騒ぎしていくんだけど、三人ともま〜個性的で最高。
ダグとペトラの吊り橋効果の恋、脳みそを食べるとよりゾンビらしくなっていく性質によって頭がいいのにどんどんバカになっていくネッドが何とか解決策を見出していくくだり、ダグとネッドの幼馴染の関係性など、全員に見せ場を作ってくれるのが最高。基本的にダグとペトラのラブコメだけど、人種差別問題にも三つの人種を下敷きにして軽く触れているところもグッドです。いがみあってた三種がようやく力を合わせるシーンの「USA!USA!」は応援上映だったら大合唱になってただろうな。
さらに脇役も、常にマリファナでラリってる淫乱女のローレライ、ご当地グルメリブレットの製造工場を仕切る金持ちのリック、ダグのことを理解してくれる両親(父親はブレイキングバッドのソウル弁護士!)、そして「ある目的」のためにこの街にやってきたエイリアンと、クセが凄すぎ!!よくこんなにゴチャゴチャな設定なのにキレイにまとまったよな…と感心せずにはいられない、そんな楽しすぎる傑作でした。終盤の流れ、伏線回収が美しかったなあ…これは絶対に見るべき!!
【予告】
【癖がすごい関連】
こちらも登場人物がハチャメチャ
映画感想 - メカニック:ワールドミッション(2016)
メカニック:ワールドミッション
★★★☆☆
【あらすじ】
無敵かつ100%事故に見せかける暗殺者、アーサー・ビショップは殺し屋稼業から足を洗ってブラジルでのんびり暮らしていたが、かつての兄弟子クレインがいい感じの女ジーナを人質にとって「三人の武器商人を始末しろ」という依頼をしてきよった。女が絡んでるとなっちゃあしゃーなしで依頼を受けるビショップだったが…!
【感想】
ジェイソン・ステイサムが最強暗殺者でおなじみのアーサー・ビショップに扮した脳筋アクション。「3人の武器商人を暗殺しないと女を殺す」と言われてしぶしぶ暗殺をするんだけど、侵入不可能・脱出不可能なところにいる標的にアッサリ近づいてサッと殺してババっと逃げていくこのテンポの良さがめちゃ良かったです。難攻不落の要塞に入るため、病院の屋上から要塞の上にいる護衛をスナイパーライフルで怪我させて、ドクターヘリで出動するついでにそのヘリに乗り込んで一気に要塞の中に入る…みたいな、ありえないぐらいのスムーズさが気持ちよく話がサクサク進んでいきましたね。あと暗殺をするためにめちゃめちゃ用意周到なんだけど、こういうの割と好きだな〜と実感しました。「ソウ」のジグソウとか、「ワナオトコ」の罠男とか、そういう感じで先の先まで読んでアイテムを用意してる感じ。男のあこがれですね。
あと前作には無かったお色気要素としてジェシカ・アルバがまさにそのためだけに抜擢されたような分かりやすいシーンがてんこ盛りだったのも頭からっぽでよかったですね。それでいいのか、とすら思ってしまうぐらいのセクシー担当でした。
話は普通なので特に言うことはありません。
【予告】
映画感想 - ドクター・ストレンジ(2016)
ドクター・ストレンジ
★★★★★
【あらすじ】
天才脳外科医だが高慢ちきなストレンジ博士は、ある日 自動車事故でその神がかった両手がめちゃめちゃになり、以前のような精密に動かすことが出来なくなってしまった。金に糸目をつけずに治療しまくるがそれでも良くならず、自暴自棄になり、貯金もつき、恋人にも愛想を尽かされかけていた。そんな中、どんな傷も治す魔術師の存在を聞きつけて、藁にもすがる思いでチベットへ。そこで出会った魔術師エンシャント・ワンの導きにより科学では説明のつかない超次元の存在を知ったストレンジは、治療と並行して魔術のいろはを教わるのであった…。
【感想】
エンシャント・ワンの魔術(=試写会)にて一足早めに観賞。おんんんんんんんもろすぎ!!漫画原作で、これで初めてドクター・ストレンジを知る人もいるだろうに、ここまでストレス無く面白く仕上げてくれるマーベル、マジでバランス感覚すごすぎる〜〜〜〜!漫画原作の邦画を悪く言うわけじゃないけど、日本ももっと頑張ってくれ〜!
開始3分でいきなり誰も見たこともないほどの超次元バトルが展開されて目が一気に釘付けになり、そこからストレンジ博士をはじめとする登場人物のキャラ説明が非常にスムーズに分かりやすく展開されて、鍛錬につぐ鍛錬を丁寧に描写してからの「闇の魔術」の存在、そして世界の破滅から人々を救う超絶アストラル次元バトル!こいつは興奮しないわけがない!
街が、空間が、重力がねじ曲がった中を歩き回るシーンはエッシャーの錯視の世界を歩いているかのようなワクワク感とドラッグをキメてしまったかのような映像美で、もうクチがポケ〜〜〜っと開きっぱなしになることは必至。この超感覚だけは実際に見て体験した方がいい…圧巻としか言いようがないので。で、肝心のストーリーはというと勧善懲悪ではなく善の追求が過ぎる余り、時に悪になりえるよね〜というところに触れているというところも単純ではなくて良かったです。といってもそこまで重くせずにユーモアを散りばめてエンタメ感を強めているのも最高。必要以上に涙を拭ってあげるマントもかわいい。
登場人物も、ハマり役のベネディクト・カンバーバッチはもちろん、「かわいい恋人」「黒人」「デブ」「ツルッパゲ」「目の周りが真っ黒になってる悪人」と、余りにも判別しやすい優しい仕様。「外国人の顔が覚えられない〜><」と言って洋画を敬遠しがちな人も気軽に見れるはず。そんな感じで老若男女楽しめるスーパーミラクルエンタメ映画、公開されたらすぐ見に行ってくれよな!そして今後のアベンジャーズに絡むシーンもオマケで出て来るので、最後まで見逃さないようにしましょうね。
ちなみに、僭越ながらこちらの「ドクター・ストレンジ」の吹き替え版にて、このわたくしめが人生初の「吹き替え声優」を担当させていただきました…その模様はこちらに記しておりますので、合わせてどうぞ。
【予告】
映画感想 - ダークレイン(2015)
ダークレイン
★★★★★
【あらすじ】
未曾有の豪雨によりバスステーションで足止めを食らった男女がいた。双子が産まれたので早く病院に行きたい男、夫とケンカしてしまった妊婦、学生運動に参加する学生、謎の言語を話すシャーマンのババア、2週間後に定年する券売係のジジイ、ステーションに住み込みで働いている女、そして病気の息子をもつ母。
いつまで経ってもバスが来ないどころか、何故かステーションから出ることすら出来ない。次第にイライラが募ってわちゃわちゃが最高潮に達した時に、とんでもない事態が巻き起こる〜〜〜!
【感想】
「未体験ゾーンの映画たち2017」にて。無限ループ地獄におちいった人々のとんでもない因果関係を描いた「パラドクス」のイザーク・エスバンの長編二作目。「パラドクス」でやばすぎる映画が爆誕したな…と思ってたんですが、こちらの「ダークレイン」もマジで果てしなくとんでもない話でした…メガトン級のおもろがまたしてもメキシコからやってきたでホンマに…。中盤以降の展開がマジで誰も見たことのない世界だったので、絶対にネタバレせずに見ていただくことを推奨いたします。ここにもネタバレは書きませんので。信じてくれ…!
バスステーション内だけで展開するワンシチュエーションものながら、序盤からまじで「早くバス来てくれ…」と思わずにはいられないぐらい嫌なことが畳み掛けてきて早くもモヤモヤとした不安が立ち込めていくんですよね。コントラストが薄く色がほとんど無い世界ながら不安感を煽る演出がまたお見事で、さらにスペイン語というほとんど聞いて解読できない言語でさらなる異界に放り込まれたような怖さなどが積み重なる!そのころにはもうこの謎の世界から目を離せなくなって、そして満を持して中盤に起こる「とんでもない事」が起こったらもう途中退室、まばたき一切できなくなります。ほんとにすごいもん見たわ…。すみません、何も言ってないに等しいんですけど、本当にネタバレしないで見に行ってほしいんです!!頼む!予告みたらめちゃめちゃ安っぽいけど、びっくりすることは必至!
ちなみに、今の新日本プロレスが好きな人だと、劇中の全く分からないスペイン語の中で唯一「トランキーロ!」だけは完全に聞き取ることが出来ます。
【見てもいい予告】
【こっちも最高潮に面白い】
映画感想 - ヴァイラル(2016)
ヴァイラル
★★★★☆
【あらすじ】
アメリカのとある住宅街シャドー・キャニオン。マジメな高校生エマと淫乱な姉ステイシーは、理科教師の父とともにこの街に引っ越してきた。ある日の授業中、エマの友達のグレイシーが突然吐血して倒れてしまった。世界中で突如として原因不明の伝染病が流行してはじめており、その症状のようだった。
次第に街には戒厳令が敷かれ、外出を禁じられてしまう。しかしいかんせん平和な街なので今ひとつ危機感はなく、エマたちは洋画でおなじみのホームパーティーに出かける。向かいに住んでいるエヴァンともいい感じになりつつあるが、この会場でグレイシーの伝染病をうつされた男がのこのこ現れ、あろうことか我を忘れて暴れ始めたのだ。この頃流行りの伝染病とは、どうやら人を操る未知の寄生虫の仕業だったのだ!一体どうなる?
【感想】
「未体験ゾーンの映画たち2017」にて。「ナーヴ 世界で一番危険なゲーム」や「パラノーマル・アクティビティ3&4」の監督を務めたヘンリー・ジュースト&アリエル・シュルマンによるパンデミック系ホラー。力を持たない住民に焦点を当てて知らず知らずのうちに伝染病が広まっていく恐怖を描いているという点ではこの前みた「レジデント」に似ているけど、こっちはこっちでなかなか面白かったな。
寄生虫に感染すると血を撒き散らして伝染していくという流れで、感染するとさながらゾンビのようになってしまうんだけど、こいつがまたキモくていいんですよ。目が見えなくなって耳から触手を出し、カタカタカタ…と喉の奥からクリック音みたいなのを鳴らしながら近づいてくるというのが良い!
お話はエマとステイシーの姉妹が中心となって進んでいくんだけど、この二人の絆がまた良かったなあ。ステイシーはかなり淫乱でおせっかいでエマは若干ウンザリしているところがあったけど実は大好きで、ステイシーがピンチに陥った時は「あの時たすけてくれたよね?今度は私が助ける!」とエマが奮い立つシーンはじ〜んと胸が熱くなりました。エマ役のソフィア・ブラック=デリアどのはタレントのマギーに似ていてかわいいし、Tシャツにジーンズというめちゃくちゃ適当な服装も良かったです。
「ナーヴ」ではかなりエンタメに振り切って楽しい映画だったけど、こちらはかなり恐怖を突き詰めた仕上がりになってるし終盤もかなり盛り上がってこっちも楽しかったな〜。今年の未体験ゾーンはなかなかいいゾンビものがラインナップに入っていて嬉しいもんですね。
【予告】
【ヘンリー・ジュースト&アリエル・シュルマン関連】
【じわ怖系ゾンビ関連】
映画感想 - モンスターズ/地球外生命体(2010)
モンスターズ/地球外生命体
★★★☆☆
【あらすじ】
突然宇宙で観測された地球外生命体が地球に飛来。国土の半分が地球外生命体の繁殖地=危険地帯として隔離されたメキシコでスクープ写真を狙うカメラマンのコールダーは、上司から現地にいる娘のサムを無事にアメリカまで送り届けるという依頼を受ける。安全に海路で行こうと思ったらコールダーのミスでフェリーのチケットを紛失。仕方なく車や護衛を違法でチャーターして陸路を進むしかなかった。果たして二人は危険地帯をくぐり抜けてアメリカに到達できるのか?
【感想】
ここからハリウッド版「ゴジラ」、そして「ローグ・ワン」の監督に大抜擢されるギャレス・エドワーズ監督の長編監督デビュー作。モンスター!怪獣!と言いつつそのモンスターはほとんど出ずにコールダーとサムが怪獣の危機に脅かされるメキシコを縦断するという点に終始しており、どちらかと言えばヒューマンドラマやラブストーリー的な感じだったかな。怪獣はあくまでオマケと言いつついつ出てくるか分からない恐怖感が飽き無さにつながってるのもグッド。「クローバーフィールド」みたいな大パニック怪獣映画を想像していると肩透かしをくらっちゃう説もあると思うので、事前にそんな感じと身構えて見ることをオススメします。
ほとんど怪獣が出ないけど、軍用ヘリや戦闘機が無残に墜落していたり、死骸が破壊されたビルの上で朽ちていたり遠くで鳴き声が聞こえたり…という描写で「いるいる」と緊張の糸を途切れさせない巧さがあるし、かと思えばアメリカ軍の爆撃に現地メキシコ人が怒りを露わにしているシーンがあって人々の感情もしっかり描いていたのでなんとなくローグ・ワンの監督に抜擢されるのも納得だなと思いました。
「ザ・レイド」のギャレス・エヴァンス監督とは別人みたいです。
【予告】