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映画感想 - ぼくとアールと彼女のさよなら(2015)

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ぼくとアールと彼女のさよなら

★★★★★

 

【あらすじ】

高校でどのグループにも属さずに飄々と学園生活を送っている映画オタクのグレッグは、ある日母親から「同じ学校のレイチェルちゃんが白血病になったらしいからお見舞いに行ってあげて」と言われる。親がそこまで言うなら…と仕方なくレイチェルの部屋に通い、しゃ〜なしで心を通わせていく。

グレッグには、幼なじみのアール(友人ではなく共同制作者と言っている)とともに自主制作のパロディ映画を作ることを趣味としていた。次第にアールも巻き込んで三人で過ごしたりするが、次第に病魔がレイチェルを蝕んでいく。励ますために今まで撮りだめたパロディ映画をレイチェル見せると、優しい笑顔で見てくれて、ファンになってくれた。イイ感じ。

 

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レイチェルは気丈に振る舞うも、やはりティーンエイジャー、次第に体調が悪くなっていき、うっすらと死がちらついてくる。死ぬのは怖い。そんなレイチェルを励ますため、グレッグは同級生でイケてるグループのマディソン(巨乳)から「レイチェルのために映画を作ってあげて」と強引に提案される…。

 

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【感想】

サンダンス映画祭とかいうイベントで大好評を博して2015年度の審査員賞と観客賞を勝ち取った、病魔に冒された少女と映画オタクにまつわる青春コメディドラマ。ヒロインが白血病になって男が奮闘する、という構図は日本だとお涙ちょ〜だい号泣必須なケータイ小説(笑)みたいな世界になってしまうけど、こちらはそういった「こうやっておけばみんな泣くんだろ」というようなあざとさはない。ティーンエイジャーが向き合う死を正面から描きつつも、身近では無い死が突然10代に振りかかってもどうすることも出来ないという未経験故のダメなところも逆にリアリティに溢れて、かといって重いテンションにせずに笑いも散りばめながら心がキリキリと締め付けられ、そして最後は清々しく泣ける…という非常にバランスの良い仕上がりになっておりました。

レイチェルにお見舞いに行くのも、レイチェルのために映画を作ってあげるのも自主的ではなく誰かに言われて仕方なくやったというモチベーションが後に自分の足かせになって苦悩・後悔するところは非常に胸に突き刺さるところがあったな。空っぽやんワシ…みたいな。でもそういうところ、10代だったらあるあるあるよね〜!と共感しちゃう。

 

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グレッグはマッカーシー先生というタトゥーだらけのパンクな先生と仲が良くて、その人が中盤にグレッグを励ますために伝えた「人は死んだあとも、自分が知らなかったその人の事をたくさん知ることがある。その人を忘れなければ」という言葉がとても心に響いたな。そういう人間にわたしもなりたいものですね…。他にも両親やアール、そしてレイチェルと、数は少ないが確実な良い人に囲まれて心境も徐々に変化していくグレッグの人間味も好印象。

あと、グレッグの「これが恋愛映画ならここで二人の距離が急速に縮まっていくんだけど…(実際には何も無い)」という心の声や、中盤で「すまないけど、彼女は最終的には回復する」といった映画を意識したネタバレがかぶさってくるのは良かったな。なぜならグレッグはずっと自主制作の映画を撮っているから、そういうのにも敏感なんだよね。そして劇中にちょこちょこと出てくるパロディ映画がとてもとても良い…「僕らのミライへ逆回転」的なパロディ感+「スーパー8」的な超絶低予算感が温かみを感じたな。全編見たい。

 

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時計じかけのオレンジ」のパロディ、「木綿仕立てのオレンジ」

 

グレッグ、アール、レイチェル、グレッグの両親、レイチェルの母親、マディソン、そしてレイチェルの部屋にあったウルヴァリンのポスターのヒュー・ジャックマン(声だけで語りかけてくる)、登場人物もめちゃめちゃ良いうえにキャスティングも最高なので是非とも見るといいかと思います。でもなんでこれDVDスルーしちゃったんだろ。ヒュートラあたりで上映してもよさそうなのにな〜。

 

【予告】