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映画感想 - 手紙は憶えている(2015)

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手紙は憶えている

★★★★★

 

【あらすじ】

とある介護施設にて。ゼブは目覚めたときに妻が死んだことすら忘れてしまう認知症が進んだ老人。妻の葬儀を終えたすぐあと、ゼブは施設の友人マックスから一通の手紙を受け取る。

そこには、二人はかつてアウシュビッツ強制収容所に送還されていたこと、そこでナチスの監視員に家族を殺されたこと、当時の犯人は身分を偽って今ものうのうと暮らしていること、その容疑者候補の4人を探し出し復讐すべきだと書かれていた。

老体を引きずり、記憶を無くし、手紙を読んで旅の目的を思い出し、車椅子生活を余儀なくされているマックスの遠隔サポートと励ましで何とか一人ずつ容疑者と対峙していくゼブ。果たして70年越しの復讐劇の結末やいかに。

 

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【感想】

ミラクルパワー(試写会)にて鑑賞。めちゃくちゃな傑作〜!面白すぎ〜〜!!!しかし鑑賞後の胸が切り裂かれるようなこの気持ち、どうしたらいいの〜〜〜〜!!!そんなやつでした。

ゼブの認知症は眠りから覚めるたびに全て忘れてしまうような重度の記憶障害で、親切にしてくれる若者の言葉は早くて聞き取れない、今しがた会って仲良くなった子供のことも居眠りしたらすぐ忘れる、もちろん俊敏に動くことも出来なければ肝心なときに失禁してしまう…となかなか見てられない描写もありつつも、それに屈することなく「殺された復讐をする」という最期の目標に向かって少しずつ進んでいく老人を演じきったクリストファー・プラマーの役者力、本当に一見の価値ありです。悲壮感の中に唯一無二な凄味があったな。こんだけ忘れっぽいけど時折披露するピアノの腕前だけは衰えることなくめちゃめちゃ上手いというのもキャラクターを掘り下げる上で重要なシーンだったね。もともとピアニストになろうとしてたらしく、本人がちゃんと演奏してるんだって。

 

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ゼブを演じたクリストファー・プラマー、表情、声のトーン、笑顔、ピアノ演奏どれをとっても素晴らしくて、主演作は初めて見たけど長年のキャリアを感じさせる安定感が良かったな。マックス役のマーティン・ランドーもものすごい存在感。車椅子なので施設からゼブの行く末を案じながら、同じような復讐に燃える目が印象的。あと、ゼブの旅の途中で出会う容疑者候補の息子が「ブレイキング・バッド」で麻薬捜査官ハンク役を演じたディーン・ノリスなんですよ。これがまたGOODでナチ信奉者の粗暴な保安官としてやばい男になっていました。他にもゼブの息子や対峙する容疑者たちの演技も素晴らしかったな。キャスティングの妙…。

 

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絞り込まれた容疑者候補は実際に会ってみると単純に人違いであったり、既に死んでいたりと平坦では無いだけに、最後の一人にたどり着いた時の緊迫感、そして明かされる真実は胸が締め付けられる思い。長い旅路の果てにこんな結末が待ち受けてるなんて、マジで呆然となってしまったな…あああ〜〜〜〜〜〜〜見ないでくれ〜〜〜いやでも見て〜〜〜〜刮目してくれ〜〜〜〜〜!!!登場人物の背景には痛ましい戦争の影がありつつも過去を回想するシーンは一切無くて舞台は常に現代に設定して、実際の戦争を生き抜いたマジの爺さん達の演技によって過去まで容易に想像できるようなすごい説得力を作り出しておりました。これは本当〜〜〜〜に面白いので絶対に見た方がいいです。10月28日公開!

 

【予告】