映画感想 - スイス・アーミー・マン(2016)
スイス・アーミー・マン
★★★★☆
【あらすじ】
無人島に漂流したハンクは人生の詰みを感じて首吊り自殺をしようとする。恐怖をかき消して鼻歌を歌い、いざ…という時に、目の前の砂浜に人間が流れ着いているのを発見した。
生きてるかどうか確認したものの、完全に心臓は止まって息もしてない溺死体だった。ちきしょ〜!と思ったけど、死体からやけに屁が出ている。なに?止まらないどころかどんどん勢いが強くなっていく。どうにもこうにも止まらないんで試しに水面に流してみたところ、屁の推進力で進んでいった。これに乗って脱出できる…?
脱出だ〜〜!みたいな感じで、謎の万能死体とともに生き延びる話
【感想】
海外での公開当時、日本でもめちゃめちゃ話題になった死体のダニエル・ラドクリフが大活躍するバディ・ムービー。屁の推進力で海を突き進むというコロコロコミックでもやらないようなギャグ描写とともにタイトルロゴがバーン!と出る演出が謎のドヤ感がすごくてめちゃめちゃ笑ってしまいました。マニーと名付けた死体は、他にも口から飲める水を出し、ボウガンみたいに矢を飛ばし、丸太を叩き割り、指で火をおこし、チンチンがコンパスになる、まさにスイスアーミーナイフのような万能さを誇り、さらにそこからハンクのスマホの待受画面に設定していた女性を見て「この人、何かを思い出すかも…」と記憶を辿っていく過程が丁寧に描かれてます。死を覆して生を得た死体と、死に最も近い生者との奇妙すぎる友情がこの映画のキモでした。
ハンクは世間から離れた異世界で出会って自分を助けてくれた死体に徐々に友情を超えて惹かれていくものの、マニーは思い出せるかどうか分からないスマホ画面の女性に惹かれていく…みたいな感じで、中盤からすれ違い的なBL要素が強まっていき、「ダニエル・ラドクリフの万能死体」というアイデア一本で終わらないストーリーもなかなか面白いんだけど、生きるとは、恋とは愛とはといった哲学的な思想を語る描写がやけに多く含まれていって、ちょっとだけだるっとしてしまったのは否めなかったかな。とはいえ「これ腐女子歓喜やな…」と思うシーンも多々含まれているので、腐女子の皆さんにおかれましては早めのご鑑賞をお願いしたいところです。
死体と旅を続けるヘタレな負け犬ハンクを演じたポール・ダノも、またナヨナヨした感じで腐女子に人気が出そうな感じなんだよな。 幸あれ。しかし尖った映画だったな…。
【予告】