にっき082 - 【青春!バカサミット3】FROGMAN×ザリガニワークス対談書き起こし
先日行なわれた「青春!バカサミット3」で、蛙男商会のFROGMANさんとザリガニワークスの武笠さん&坂本さんがキャラクターコンテンツに関する対談が興味深かったので、書き起こしました。
↓
FROGMAN(以下 F)
「キャラクター」については、なにかしら共通の認識の上に成り立っていると思っています。鷹の爪の「総統」はストリートファイターIIのベガみたいだとよく言われるんですが、僕はベガのこと知らないんですよね。個人的には「チキチキマシン猛レース」のブラック魔王のイメージなんですよ。そこからスタートして、色が赤いのもBBCのドラマ「レッドドワーフ号」にあやかってるんですね。そういう感じでけっこう色んなとこからイメージを借りることによって、皆が「あ、あれっぽい」とかというキャラ設定が一目見ただけでなんとなくつかめるんです。「パクリ」じゃなく、「イメージを借りる」ということですね。でないと、全く新しい異質のものが出てきても受け入れられにくいのではないかと思うんです。
ザリガニさんのコレジャナイロボもそんな感じですよね。
武笠(以下 武)
そうですね。コレジャナイロボとかも、よく「ガンダム」とかよく言われるんですけど、僕らガンダム知らないんですよね・・・
F
そんなことないよ そりゃひどいよ 笑
武
早めにつっこんでいただいてありがとうございます 笑
共通認識っていうところで「これじゃない!」ていうものをプレゼントされてがっかりした経験をアイコンとしてあらわすとしたら、僕らの世代ではロボットというのがアイコンとして浮上してくるんですよね
F
なぜコレジャナイロボを作る必要があったんですか?そこ疑問です
坂本(以下 坂)
アイデアは武笠からでてきたものなんですが、前提として僕らは手作りで雑貨を作ってデザインフェスタとかイベントの現場で手で販売してたんです。ものづくりをしているとお客さんとしゃべれたり、お客さん同士がしゃべれるというのが -今は大事なことですが- 昔は単純に嬉しくて、話がふくらませられるのをすごい重視しているんです。それの最右翼、フラッグシップになれるようなものを考えたいなというところでコレジャナイロボがありました。
F
ここまで大きくなるとはね 「コレジャナイロボ」って、そもそも要らないものですからね。
武
忌み嫌われているものですからね 笑
しゃべれることが核になってて、例えばレコード会社から「主題歌作りませんか」という話もあったんですね。「変な人から電話きたな~」と思ったんですが、コレジャナイロボが面白いと思ってくれて、その人がレコード会社で働いていて歌出せるから歌出そうぜ、みたいな、「一緒に遊ぶ感覚」できてくれるような、「巻き込み型」というようなコンテンツなのかなーと思っていて・・・。そういう意味では鷹の爪はすごい巻き込み力はあるな~って思います。先週からNHKでも放送されてたりしてますし。
F
そうなんですよ、おかげさまで。もともとテレ朝の深夜でやってて、キー局の番組が他の局にうつることは21世紀に入って前例がないことなので業界では騒然としたんですが、「鷹の爪だったらしょうがないか」みたいなとこがありました。得なキャラクターだなと思ったりして。
どう実現できたかというと、もともと鷹の爪はFLASHで一人で作ってたじゃないですか。ですがドラマとか映画とかアニメは、「製作委員会方式」ていう言い方をするんですよね。色んな会社がお金を出資して一つのコンテンツに権利をいくつも分散させて、その権利元が得意な分野 -DVD作ったり、宣伝やったり映画やったり- で協力してコンテンツを盛り上げられるメリットがある反面、一社でもNGが出たら、進まなくなってしまうんです。だからあれだけ人気あったのに続編がないものは、製作委員会の参加メンバーの一つが異を唱えて、それ以上進まないパターンが多いみたいです。
鷹の爪はDLEが勝手に作っているものなんです。テレビ朝日の番組も「枠を買ってる」んですよね。深夜に3ヶ月の枠を買って、その枠自体がCMになってDVDにして回収するモデルなんですが、最近はDVDも売れてないから深夜アニメも減ってます。で、今後もテレ朝で引き続きやろうと思ってても枠があかなくて1年ぐらいずっと止まってるあいだ、今年に入って突然NHKから「5分の枠があるけど」という話がきたんですよね。
最初は鷹の爪とは別のものをやってくれという話になったが、鷹の爪やったらどうだろうと思って話を持って行ったら、「大丈夫ですか(権利的な意味で)?」と言われたんですよ。ですが「100%うちのコンテンツなので大丈夫です」という感じでトントンと話が進んでいきました。ザリガニさんも色んな会社からコラボの話がくると思うんですが、ザリガニさんがオリジナルでコンテンツを持ってるから、話が早いんですよ。色んな会社からテレビに出そう、DVD出そうという話になったときに「お金あげるから、マルC(コピーライト)もつけてやろうよ」と言われても、お金をもらえるからと言っても、やめたほうがいいですね。そうすることでひも付きになると、いざというときに話が進まなくなっちゃうし、どこかの企業さんから声かけてもらったときに、ザリガニさんみたいに色んな展開ができなくなっちゃうと思います。
で、コレジャナイロボはいつかにディズニーみたいになってほしいんですよ。
武
ディズニーですか!笑
F
ディズニーって全部ディズニーコンテンツじゃないですか。だからおもちゃ、映像、ホテルになって色々展開できてるんですよね。うちもそういうふうになりたいと思っています。難しいですが・・・。
武
「鷹の爪がNHKで放送できたのは、マルCを手放さなかったから」なんですね。
F
そうすることで周りの人も幸せになれると思うんですよ。だって坂本さん武笠さんに話をもっていってOKだったらそれでOKじゃないですか。普通の場合だったら、制作委員会メンバー全員あつめて話をして、各委員会メンバーが会社に持って帰って部長に報告してナニナニしてコレコレして回答します・・・ってなってたら軽く1ヶ月かかっちゃいますよ。うちもそうなんですが、鷹の爪は僕と社長がOK出したらそれでOKなんです。
日本のコンテンツが世界に負けてる理由はそれなんですよね。よく日本のアニメが世界に話題になってると聞いてますが、ここ10年は負け続けてます。その大きな理由が「日本の権利処理が難しい」ことなんですよね。一方で正しいことですが、世界に広げようとしたときにそれが足かせになると思います。韓国ドラマが伸びてるのはそこら辺フリーにして流してるからんですよね・・・。
すみません、僕の話ばっかりになっちゃいました。
武
いえいえ、今日は「FROGMANさんの話をきこう」と思ってきたんで大丈夫です
F
笑 いやでもザリガニさんは自分が本当にしたいことをやって、ビジネスとして大きく広がっててすごいなと思っています。何からしてこういうことやろうと思うんですか?土下座とか。
武
土下座は、最初はゼンマイを巻いて土下座をしたり、USBでつないでマウスクリックするたびに土下座したりとか。まずまず提案したんですが、商品メーカーさんは色んなことが絡んでハードルが高いんでそのネタが面白い面白くないだけでは動かないので、それでなんとなくダメになってて。でも僕は諦めきれなかったんです。折り紙でできないかとか、粘土で実際に作ってみたりとかしたんですよ。で、またそれを次の企画会議に出したら「面白いじゃん」ってなりました。今まで普通に置いていたフィギュアと組み合わせると急に物語が生まれて。それでどのメーカーが面白がってくれるかって思い浮かべて出てきた奇譚クラブさんっていう新進気鋭のガチャガチャメーカーに持って行ったらすぐやろうとなって始まったんです。
F
なるほど。最初の段階で土下座のフィギュアどうだろうって言った時って、何が面白いか分からないじゃないですか。コレジャナイロボしかり。でも実際にモノを見せてコンセプトを話すとき、 -例えば他のフィギュアと組み合わせるとものすごい物語が生まれるとか- そこら辺て、一生懸命メーカーさんと話ししてる時って「何が面白いんだろう?」って疑問に思ったりしないんですか?
武
そこは坂本が分析してくれるんですよ。
俺が「これ面白いと思うんですけど」って言うと、その内訳というか成分を分析してくれるんです。
F
あ、言語化してくれるんですね。
武
そうです。そうすると、僕が最初このアイテムでやろうと思っていたけど、それだったらこっちでやった方が面白いかもしれないとか、この部分はいらないねとかという感じで企画会議は進みますね。
坂
それで、考えたアイデアを「これが大事なことで、これはブレさせちゃだめだけど、他は何やってもいい」ってぐらいまでコアになる部分を取り出しておくんですよね。それをメーカーさんとかパートナーになるべき会社とかと話をする時にその柔軟な部分はそちらでどんな風にやってもらってもいいっていうように話ができるんで、メーカーさん、パートナーさんと暮らしやすい状況は作れてるかもしれないですね。
ここで時間終了~。「オリジナルコンテンツは100%自分が所有しよう」「核となるアイデアはブレさせず、それ以外は柔軟に対応しよう」てとこがキモですね。バカサミットなのに普通にタメになりました。
↓
FROGMAN(以下 F)
「キャラクター」については、なにかしら共通の認識の上に成り立っていると思っています。鷹の爪の「総統」はストリートファイターIIのベガみたいだとよく言われるんですが、僕はベガのこと知らないんですよね。個人的には「チキチキマシン猛レース」のブラック魔王のイメージなんですよ。そこからスタートして、色が赤いのもBBCのドラマ「レッドドワーフ号」にあやかってるんですね。そういう感じでけっこう色んなとこからイメージを借りることによって、皆が「あ、あれっぽい」とかというキャラ設定が一目見ただけでなんとなくつかめるんです。「パクリ」じゃなく、「イメージを借りる」ということですね。でないと、全く新しい異質のものが出てきても受け入れられにくいのではないかと思うんです。
ザリガニさんのコレジャナイロボもそんな感じですよね。
武笠(以下 武)
そうですね。コレジャナイロボとかも、よく「ガンダム」とかよく言われるんですけど、僕らガンダム知らないんですよね・・・
F
そんなことないよ そりゃひどいよ 笑
武
早めにつっこんでいただいてありがとうございます 笑
共通認識っていうところで「これじゃない!」ていうものをプレゼントされてがっかりした経験をアイコンとしてあらわすとしたら、僕らの世代ではロボットというのがアイコンとして浮上してくるんですよね
F
なぜコレジャナイロボを作る必要があったんですか?そこ疑問です
坂本(以下 坂)
アイデアは武笠からでてきたものなんですが、前提として僕らは手作りで雑貨を作ってデザインフェスタとかイベントの現場で手で販売してたんです。ものづくりをしているとお客さんとしゃべれたり、お客さん同士がしゃべれるというのが -今は大事なことですが- 昔は単純に嬉しくて、話がふくらませられるのをすごい重視しているんです。それの最右翼、フラッグシップになれるようなものを考えたいなというところでコレジャナイロボがありました。
F
ここまで大きくなるとはね 「コレジャナイロボ」って、そもそも要らないものですからね。
武
忌み嫌われているものですからね 笑
しゃべれることが核になってて、例えばレコード会社から「主題歌作りませんか」という話もあったんですね。「変な人から電話きたな~」と思ったんですが、コレジャナイロボが面白いと思ってくれて、その人がレコード会社で働いていて歌出せるから歌出そうぜ、みたいな、「一緒に遊ぶ感覚」できてくれるような、「巻き込み型」というようなコンテンツなのかなーと思っていて・・・。そういう意味では鷹の爪はすごい巻き込み力はあるな~って思います。先週からNHKでも放送されてたりしてますし。
F
そうなんですよ、おかげさまで。もともとテレ朝の深夜でやってて、キー局の番組が他の局にうつることは21世紀に入って前例がないことなので業界では騒然としたんですが、「鷹の爪だったらしょうがないか」みたいなとこがありました。得なキャラクターだなと思ったりして。
どう実現できたかというと、もともと鷹の爪はFLASHで一人で作ってたじゃないですか。ですがドラマとか映画とかアニメは、「製作委員会方式」ていう言い方をするんですよね。色んな会社がお金を出資して一つのコンテンツに権利をいくつも分散させて、その権利元が得意な分野 -DVD作ったり、宣伝やったり映画やったり- で協力してコンテンツを盛り上げられるメリットがある反面、一社でもNGが出たら、進まなくなってしまうんです。だからあれだけ人気あったのに続編がないものは、製作委員会の参加メンバーの一つが異を唱えて、それ以上進まないパターンが多いみたいです。
鷹の爪はDLEが勝手に作っているものなんです。テレビ朝日の番組も「枠を買ってる」んですよね。深夜に3ヶ月の枠を買って、その枠自体がCMになってDVDにして回収するモデルなんですが、最近はDVDも売れてないから深夜アニメも減ってます。で、今後もテレ朝で引き続きやろうと思ってても枠があかなくて1年ぐらいずっと止まってるあいだ、今年に入って突然NHKから「5分の枠があるけど」という話がきたんですよね。
最初は鷹の爪とは別のものをやってくれという話になったが、鷹の爪やったらどうだろうと思って話を持って行ったら、「大丈夫ですか(権利的な意味で)?」と言われたんですよ。ですが「100%うちのコンテンツなので大丈夫です」という感じでトントンと話が進んでいきました。ザリガニさんも色んな会社からコラボの話がくると思うんですが、ザリガニさんがオリジナルでコンテンツを持ってるから、話が早いんですよ。色んな会社からテレビに出そう、DVD出そうという話になったときに「お金あげるから、マルC(コピーライト)もつけてやろうよ」と言われても、お金をもらえるからと言っても、やめたほうがいいですね。そうすることでひも付きになると、いざというときに話が進まなくなっちゃうし、どこかの企業さんから声かけてもらったときに、ザリガニさんみたいに色んな展開ができなくなっちゃうと思います。
で、コレジャナイロボはいつかにディズニーみたいになってほしいんですよ。
武
ディズニーですか!笑
F
ディズニーって全部ディズニーコンテンツじゃないですか。だからおもちゃ、映像、ホテルになって色々展開できてるんですよね。うちもそういうふうになりたいと思っています。難しいですが・・・。
武
「鷹の爪がNHKで放送できたのは、マルCを手放さなかったから」なんですね。
F
そうすることで周りの人も幸せになれると思うんですよ。だって坂本さん武笠さんに話をもっていってOKだったらそれでOKじゃないですか。普通の場合だったら、制作委員会メンバー全員あつめて話をして、各委員会メンバーが会社に持って帰って部長に報告してナニナニしてコレコレして回答します・・・ってなってたら軽く1ヶ月かかっちゃいますよ。うちもそうなんですが、鷹の爪は僕と社長がOK出したらそれでOKなんです。
日本のコンテンツが世界に負けてる理由はそれなんですよね。よく日本のアニメが世界に話題になってると聞いてますが、ここ10年は負け続けてます。その大きな理由が「日本の権利処理が難しい」ことなんですよね。一方で正しいことですが、世界に広げようとしたときにそれが足かせになると思います。韓国ドラマが伸びてるのはそこら辺フリーにして流してるからんですよね・・・。
すみません、僕の話ばっかりになっちゃいました。
武
いえいえ、今日は「FROGMANさんの話をきこう」と思ってきたんで大丈夫です
F
笑 いやでもザリガニさんは自分が本当にしたいことをやって、ビジネスとして大きく広がっててすごいなと思っています。何からしてこういうことやろうと思うんですか?土下座とか。
武
土下座は、最初はゼンマイを巻いて土下座をしたり、USBでつないでマウスクリックするたびに土下座したりとか。まずまず提案したんですが、商品メーカーさんは色んなことが絡んでハードルが高いんでそのネタが面白い面白くないだけでは動かないので、それでなんとなくダメになってて。でも僕は諦めきれなかったんです。折り紙でできないかとか、粘土で実際に作ってみたりとかしたんですよ。で、またそれを次の企画会議に出したら「面白いじゃん」ってなりました。今まで普通に置いていたフィギュアと組み合わせると急に物語が生まれて。それでどのメーカーが面白がってくれるかって思い浮かべて出てきた奇譚クラブさんっていう新進気鋭のガチャガチャメーカーに持って行ったらすぐやろうとなって始まったんです。
F
なるほど。最初の段階で土下座のフィギュアどうだろうって言った時って、何が面白いか分からないじゃないですか。コレジャナイロボしかり。でも実際にモノを見せてコンセプトを話すとき、 -例えば他のフィギュアと組み合わせるとものすごい物語が生まれるとか- そこら辺て、一生懸命メーカーさんと話ししてる時って「何が面白いんだろう?」って疑問に思ったりしないんですか?
武
そこは坂本が分析してくれるんですよ。
俺が「これ面白いと思うんですけど」って言うと、その内訳というか成分を分析してくれるんです。
F
あ、言語化してくれるんですね。
武
そうです。そうすると、僕が最初このアイテムでやろうと思っていたけど、それだったらこっちでやった方が面白いかもしれないとか、この部分はいらないねとかという感じで企画会議は進みますね。
坂
それで、考えたアイデアを「これが大事なことで、これはブレさせちゃだめだけど、他は何やってもいい」ってぐらいまでコアになる部分を取り出しておくんですよね。それをメーカーさんとかパートナーになるべき会社とかと話をする時にその柔軟な部分はそちらでどんな風にやってもらってもいいっていうように話ができるんで、メーカーさん、パートナーさんと暮らしやすい状況は作れてるかもしれないですね。
ここで時間終了~。「オリジナルコンテンツは100%自分が所有しよう」「核となるアイデアはブレさせず、それ以外は柔軟に対応しよう」てとこがキモですね。バカサミットなのに普通にタメになりました。