映画感想 - ターボ・キッド(2015)
★★★★★
【あらすじ】
核戦争により文明が崩壊した1997年。マッドマックスみたいな荒廃した世界で一人で生き延びる少年・キッドは、チャリンコに乗って不法投棄された物から使える物を探すスカベンジャーとして細々と暮らしていた。
ある日、荒れた公園のブランコで唯一の娯楽であるコミック「ターボ・ライダー」を音読していたら、突然謎の少女アップルに話しかけられる。
最初は転がってる死体に「新しい友だちできたよ〜!」とか話しかけてて、「何こいつ、ヤバすぎ…」と思ってたんだけど、その圧倒的天真爛漫さに徐々に心をひらいていく。アップル用のチャリンコやヘルメットや武器を集めながら何だかいい雰囲気になってきたのも束の間、ここらへんを仕切る首領ゼウスの部下にアップルが誘拐されてしまう。
せっかく仲良くなりかけたのに…ってなったんだけど、ひょんな事から敬愛する「ターボ・ライダー」の装備一式を偶然発見する!漫画の世界だけじゃなかったのか!と驚きつつもスーツに身を包んだキッドは、ゼウスの企みを阻止してアップルを救うため、そして両親を殺された仇であるゼウスを倒すため、チャリンコで駆け出すのであった…!
【感想】
80年代っぽいノスタルジックな映像センスが光る、スーパーパワーを手に入れた少年が活躍する低予算アクション。分かりやすすぎる勧善懲悪モノでストレートな話なんだけど、それでも最高に面白い!!!!!!痛快すぎる!!!!!
世界観はもろマッドマックスリスペクトな感じを醸し出しつつ、乗り物は車やバイクではなくチャリンコ。少年少女はもちろん、腕っ節の強い渋い用心棒のおじさんも、鉄仮面を被った悪党や虚無僧みたいなギャングもみんなみ〜んなチャリンコにまたがってる。それが崩壊した世界の対極のような平和さで雰囲気がめちゃくちゃ良いんですよ…。そんな奴らが繰り広げる緊張感の薄〜いチャリンコでの追いかけっこは「ロンドンゾンビ紀行」におけるじいちゃんとゾンビの時速1.7kmのデッドヒートを彷彿とさせるほんわか感。パロディ映画としてここまで完璧で最高なやつはあったでしょうか?いや無い!
↑自転車だけど待ち構えてる姿はかっこ良くて、この辺のギャップも素晴らしすぎ。こいつがボスの右腕で、「怒りのデスロード」で言うところのリクタス。腕についた回転刃で相手を切り刻むぞ!
で、それはさておき、この映画で一番声を大にして皆さんに伝えなければならない素晴らしい点は、「ヒロインのアップルさんが今まで見たどのヒロインよりもかわいい、世界一かわいい」ということです。
薄いピンクの髪に緑のスーツ、独特のメイク。奇抜かわいい。
いきなりゼロ距離で話しかけてくる。かわいすぎる…
マジでこんなに「カワイイ…」って思った映画のキャラクターは他にいないんじゃないか…と思うほどにかわいかった…。最初は行動や言動もややウザくて今までどこで何してたんだ的な謎なところも多いけど、別の次元から来たんじゃないかと思わせるこの底抜けな明るさ、天真爛漫さに全員(=観客)がグイグイそのペースに引きこまれていくんですよ…このかわいさは是非みなさん体感して欲しいなと思います…マジでオアシス。
で、ちゃんアップルとキッドの間で繰り広げられる青春ラブロマンスがまためっちゃいいんですわ!!キッドはアップルのことを変なやつだと思うけどこんな世の中じゃ一人だとすぐギャングの餌食になりそうっつってほっとけないし、アップルにとってキッドはやっと見つけた新しい友だち。お互いひとりぼっちだった二人の恋、うまくいきますようにと願わずにはいられない!お〜〜い!あまずっぺえぞ〜〜〜!!!心が叫びたがってる〜〜!!!
ただ、バトル全般はなかなかグロいのでお気をつけください。でもこのゴア描写も行き過ぎて逆に笑っちゃうレベルで良いんだよな。顔をナイフで切ったら切断された上半分がクルクル回ったり、アゴを引っこ抜いてそのアゴで頭を殴りつけたりと、目の覚めるような斬新な人体破壊描写が素晴らしかった。「斬れた上半身が飛んでいって別の人の頭にささって身長が1.5倍になる」という描写もめちゃめちゃ過ぎておもしろい。
「80年代テイストの終末感」「チャリンコ」「甘酸っぱいラブロマンス」「情け容赦無しのグロバトル」「アップルさんかわいすぎ伝説」という様々な要素が最高のバランスでミックスされた素晴らしき&愛すべき傑作だったので、猛烈プッシュさせていただきます。最高だから見て〜〜!!!
タイトルのアニメーションも最高としか言いようがないっ!!これが2015年に制作された映画なのかよ。
【サムネイルがグロい予告】
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【2016/9/28追記】
アップルちゃんがキッドと出会う前のショートムービーが最近うpされました。名曲「No Tomorrow」にのせてアップルちゃんと元相棒との交流が描かれています。天真爛漫過ぎる…。