映画感想 - 木屋町DARUMA(2015)
★★★★★
【あらすじ】
京都の木屋町を仕切るヤクザの勝浦(遠藤憲一)は、5年前に部下がやらかしたミスの責任をとって四肢を失ってしまった。坂本(三浦誠己)という若手が手足となり世話をしてくれるおかげで何とか生活をしているが、彼の現在の仕事は、債務者の家に上がり込んで「ご飯食べさせてくれ〜!おしっこ出る〜〜!うんこも出る〜〜!一人じゃ何もできん〜〜!」とめちゃくちゃ喚き散らす嫌がらせを行うという文字通り捨て身の取り立て稼業だった。
そんな勝浦と坂本に新たな"追い込み"の仕事が入ったが、その家族は勝浦が四肢を失う直接の原因となった部下の知人の家であった。5年前の事件には何かウラがあるのでは…と疑問をもっていた坂本は、過去を調べ始める。
【感想】
いや〜〜〜〜〜これめちゃめちゃ衝撃的で面白い!最初の12分でいかに勝浦の仕事がヤバイかっていうのが描写されて、それがもう4tトラックが4台前後左右からフルスピードで突っ込んでくるかのような、そんなとんでもない衝撃。やばすぎて顔が引きつってしまいましたね…。で、そこから勝浦を取り巻く人々の転落を描きながら過去の事件の真相を暴いていくんだけど、非常に丁寧に作りこんでくれているおかげでス~っと入ってくるんですよね。一つ一つの場面を無駄なく見せていくことで全体像をきれいに浮かび上がらせてくれる脚本と演出の妙、近年まれに見る見やすいヤクザ映画でした。こういうジャンルにありがちな派手な抗争なんかはほとんど無いしね。その代わり「人々の転落」が手加減無しにえげつなく描かれておった。
債務者(寺島進)が借金を返すためにめちゃくちゃなことをやらされたり、その娘(武田梨奈)も最初は穢れを知らない女子高生だったのに借金返済のために最悪レベルの風俗に足を突っ込んで「この前セントバーナードのちんちんくわえた♪」とか実父に平気で言っちゃうような狂人になってしまったりと、登場人物の「落ちるとこまで落ちたな」感ももう目も当てられないレベルで最悪。坂本も本来やりたくない勝浦の介護生活への心労が積み重なってズタボロになるしで、この世は殺戮の時代なんかい…と絶望しかないんだけど、勝浦の恐ろしいまでの生きる執念と寛大すぎる男気、義理と人情にはとにかくほれぼれするのであった…!四肢がなくなってる時点で全然ハッピーエンドにはならないけど、たぎる熱さはあったな。
原作の小説があるんだけど、内容が内容だけに軒並み出版社から刊行を断られて、結局電子書籍で出すという憂き目にあったらしいね。そりゃこんな内容ならそうだろうな…と。ちなみに、坂本を演じた三浦誠己、めちゃくちゃカッコ良くていい演技してたな〜〜〜〜最高〜〜〜。
【予告】