映画感想 - リザとキツネと恋する死者たち(2014)
★★★★★
【あらすじ】
1970年代のブタペスト、日本大使未亡人の個人看護師として働いていたリザ(30歳・独身)の心の拠り所は日本の恋愛小説と、リザにしか見えない元昭和歌謡曲の歌い手である幽霊の友人・トミー谷だけであった。
小説に書いてあるような真実の愛に飢えていたリザは、30歳の誕生日に普段禁止されている外出の許可をもらい、恋人を見つけるために街へ繰り出す。しかしその間に未亡人は何者かに殺され、リザが恋に落ちようとしている男性もことごとく命を落とし、「私ってキツネが憑いているのかも…?」とめちゃくちゃ落胆する。果たしてリザに幸せはくるのだろうか…?
【感想】
良すぎ!!!!!!!!!!!ハンガリー人監督が日本に訪れた時に立ち寄った那須と九尾の狐の伝説に感銘を受けて作ったのがこの映画で、日本大好き監督があえて「胡散臭い日本描写」を詰め込みまくった仕上がり、めちゃくちゃ楽しかったな。言ってしまえば「ムーンライズ・キングダム」や「グランド・ブタペスト・ホテル」とかのウェス・アンダーソンが作りそうな空気感なんだけど(しかもそれよりやや劣ってる)、それでもこのちぐはぐな日本観と全体的な珍妙さが絶妙にマッチして大変楽しく見れました。開始数分でガッツリ心を奪われることは確実。
開始数分で心を奪われる理由、それはリザにしか見えない歌手の幽霊トミー谷のスター性が圧倒的だから…。ハンガリー人が現地で作った聞いたことのない謎の旋律にのっかった変な日本語歌詞のクセがすごすぎて強烈なインパクトを残してくれました。トミー谷自身のビジュアルも素晴らしい。
一回は聞いてくれ
で、リザと恋に落ちそうな男性が次々と死んでしまう原因はかなり早い段階でトミー谷のしわざっていうのが分かるんだけど、その呪いをいくらかけても耐えまくるゾルダン巡査のひたむきさが非常に良かったな。呪いによって燃やされようが感電しようがシャンデリアが落ちて来ようが、リザに抱いた恋心のため、ただただ寡黙に耐えるその姿、男らしさの見本かい…。
愛に飢えた女と、謎の日本人幽霊、リザに恋する変な男達、絶対死なない無口な刑事ととんこつラーメンみたいに濃くて見る人は選びそうなのと、深く説明されないつっこみどころが満載ではあるけど、個人的にはそれらが気にならないぐらい面白かったのでぜひご覧ください。敬具
【予告】