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映画感想 - ドッグマン(2018)

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ドッグマン

★★★★☆

 

【あらすじ】

寂れた町で犬のトリミングサロンを経営する卑怯で最悪なのび太とも言うべき孤独な男マルチェロは、激烈に素行が悪く町の全員から嫌われている最悪なジャイアンとも言うべきシモーネにいいように扱われ、従属関係を断ち切れないでいた。ある日、ジャイアンの悪事をのび太がやったと疑われ、住民たちの信頼を地に落としてしまう。果たしてのび太が起こす行動とは…?な話

 

【感想】

イタリアのクライム・ドラマ。変すぎる…。なんなんだこの話は…。とにかくメインとなる登場人物がどっちも見てらんないぐらい最悪な人間なのがすごい。マルチェロは性根がとにかく卑怯で愚かで腐ってて、シモーネが空き巣に入る時に渋々運転してあげたり(しかも分け前が少なくてもっともらおうとするが断られる)、ヤクを売ってあげたのに金を払ってもらえなかったりと散々なのに、シモーネとのこの関係を楽しんでるかのような素振りをする心理描写が全く理解できずにモヤモヤさせるし、シモーネはシモーネで体中の肉をケバブみたいに削がれてゆっくり苦しみながら死んでいく刑に処してやりたいほど血も涙もない地獄からやってきた下等人間。この二人のストレスが凄すぎる!なんなん!?気が狂う!!

 

…と書きながらいまふと思ったんだけど、オープニングでマルチェロが荒々しく吠える獰猛な犬を何とか手懐けてシャンプーやドライヤーをかけるトリマーとしての描写と、マルチェロがトリマーである理由。これを振り返ると、もしやマルチェロはシモーネを「言うこと聞かない犬」に見立てて、主従関係を逆転させようと奮闘してたんですかね!?そう考えると、犬がやらかした粗相は飼い主が落とし前をつけるという気持ちで中盤の「◯◯を書かない」という信じがたい行動原理も少し理解できるような…。いやそういうことでもなく単純に愚か者なだけか…。ああ、ふたりを思い出すだけで腹が立つ…!

 

…みたいな感じでかなり変テコな話だったんだけど、この唯一無二の世界観と人間の弱さや愚かさ、どこで道を踏み外したんだ…と虚しくなってしまう胸糞展開を独自の切り口で表現した監督の手腕はめちゃめちゃ凄くて、心に強烈なインパクトを残してくれたなぁ。ラストシーンのマルチェロの孤独と虚無の表情と、荒みきった町を映す遠景…凄まじい表現力だったなぁ〜。オススメ…はちょっとしづらいですね。気になったら是非。敬具

 

【予告】