映画感想 - ザ・トライブ(2014)
★★★☆☆
【あらすじ】
ろうあ者の寄宿学校に入ってきた主人公のセルゲイだったが、そこでは犯罪や売春などが横行する終わってる不良たちが幅をきかせており、入学早々そいつらにボコられてしまう。応戦したらけっこうタフボーイじゃんってことで気に入られて組織に仲間入りして犯罪に手を染めていくうちに、売春して金を稼いでイタリアに逃避行しようとしていたボスの愛人のことを好きになってしまって愛と欲望が渦巻きまくる、全編手話のみ・音楽なし・セリフなし・字幕なしの映画。
【感想】
ウクライナ発の「手話のみ・音楽なし・セリフなし・字幕なし」というシチュエーションで、全寮制のろうあ者学校の人々のえげつない姿を描いていくんだけど、いやいや!とがりすぎ!いくらなんでもとがりすぎよ!しかも全編やや引いた遠目のアングルから客観的+1カットごとに異常なほどの長回しで撮影されてるおかげで、尋常じゃないほど見た目の画は単調。マジで手話しかないので話を完全に理解するのはかなり難しいんだけど、それでも一つ一つの画や描写にインパクトと感情に溢れてて、ぼんや〜りと話自体は分かってくるのはすごい。セリフも音も何もないのに手話だけで「この人めちゃくちゃ怒ってる…!」ってなった。
こういう障害者が出てくる映画って「障害に負けないゾ!」みたいなハートフルな感じになりがちだけど、ここに登場するろうあ者達は暴行・強盗・売春といった犯罪に手を染めまくってて、一切心がほっこりさせてくれないのもすごい。ボーッとみてると圧倒的暴力に気が滅入ることはうけあい。2時間と長くてオススメができないけど、一風変わった映画が見たい時にはぜひ。ただ少なくともクリスマスや年末年始のうきうきムードの時に見るものではない。
ちなみに、↑これ学校内の女子トイレみたいなんだけど、こんなにプライバシー無いものなの?すごすぎない?他にもモグリの医者によるめちゃくちゃ雑な中絶の描写とかもあってウクライナの日常の中の非日常感ヤバすぎ…と思いました。
【予告】