映画感想 - 奪還者(2015)
★★★★★
【あらすじ】
経済が崩壊したオーストラリア、人々は荒みきった生活をしており、物を一つ買うにも銃を構えた店員から取引しなければならないレベル。そんな中、なんか生きる希望を失って何もかもがどうでもよくなってるおじさんが登場。乗っていた車から降りてトボトボと歩いて小さなバーでメシを食ってたら、目の前の道路を車がズサーーーーっとシュールに滑っていった。
この車に乗ってたのは三人の強盗団。一仕事終えて逃げている途中でうっかり事故ってしまったっぽい。車から出てきた三人は急いで近くに停めてあったおじさんの車を奪ってさらに逃走。おじさん、最後の所有物である車を奪われて死に物狂いで取り返しに行く、という話。
【感想】
「アニマル・キングダム」のデヴィッド・ミショッド監督の最新作。おじさんが狂気に満ちた目で車を取り返しにいくシンプルな主軸の中に、強盗団からはぐれた男と同行するうちに変わっていく二人の感情を織り交ぜながら、何故そこまで車にこだわるのか、という理由が明らかになるラストシーンと、非常によく練られた脚本が素晴らしかったです。正直「アニマル・キングダム」はあんまりハマらなかったので今回もどうかな〜と思ってて、そういう入りで見てたせいで中盤「暗すぎるな…」と思ってたんだけど、終盤はかなりハッとさせられました。すごい話だったね。
終末的な世界なんだけど、ハルマゲドンとかではなくただただ経済が崩壊したという設定なのでマッドマックスばりの世紀末感は無いけど、「実際こんなんになるのかな〜」的なちょうどいい具合の世界設定もこのおじさんを突き動かす違和感の無い理由になってるな〜と思いました。とにかく最後に全てが集約されてるので、ぜひ見てみてください。
【予告】