映画感想 - エレメンタリ 〜鍛冶屋と悪魔と少女〜(2018)
エレメンタリ 〜鍛冶屋と悪魔と少女〜
★★★★☆
【あらすじ】
「罪人の元に悪魔がやってきて、魂を渡す代わりに願いを叶える」という言い伝えがあった19世紀のバスク地方。人里離れた山奥に住む鍛冶屋パチは黄金を隠し持っている疑惑が持たれ政府の調査が入ることになった。しかしパチは自宅に悪魔を生け捕りにしていて、拷問を加えていた!そんなんアリ!?パチが犯した罪とは?
【感想】
スペインとフランスにまたがってるバスク地方に伝わる民話の映画化(NETFLIXオリジナル)。人間と悪魔の間でかわされる契約の裏をついた男と、過去に犯した罪、人間の欲などをテーマに描いているんだけど、民話がベースになっていて難解になることもなく実に分かりやすいお話でした。悪魔や地獄のビジュアルも新しさは無いものの、昔のゴッド・オブ・ウォーのようなファンタジックさもあって良し。そんな世界観もさることながら、何よりも最高だったのが低級悪魔サルタエルの存在。これがすごいです。人間と悪魔をテーマにしておきながらこんな仕上がりになった映画は今までみたことない…
件のパチに取り付いた悪魔(=低級な悪霊)サルタエル、こいつがめちゃめちゃドジで可愛いんです。ここ!ここが悪魔をテーマにした映画の中で最も斬新ですごいところ!檻に入れられて「お前の魂を食らい付くしてやるからな!!!!」とか凄みをきかせてるのに、豆をバーっと地面にまくとそれが悪魔の弱点なのか「うわあああ!豆を数えずにはいられない〜!1 2 3 4 5…!!ああやめて!ぐちゃぐちゃにしないで!数えてたのに!1 2 3…!」ってなるし、つながれた鎖を解き放って逃げようとするも、トラバサミに挟まって「いてえ〜!!ちきしょ〜!!」ってなるのが、二回。二回よ!?これ日本のお笑いテクニック「テンドン」じゃないですか!日本のバラエティ番組参考にしたの!?って感じで感動してしまいました。すごい荘厳なオープニングでただならぬ雰囲気だったところでこのサルタエルのギャップ。最高すぎるだろ!それ以降も基本悪魔なので信頼できなさそうになりつつもカッコイイところを見せてくれたりと、ビジュアルの割に実に憎めない素晴らしいキャラクターでした。電車の中で見てて笑いこらえるの大変だったわ
ちなみにバスク地方出身の監督が創っており、英語吹き替えもあるけどオリジナル言語はバスク語。めちゃめちゃ難解で「悪魔がバスク人を誘惑するためにバスク語を習ったが、7年かかって覚えたのは『はい』と『いいえ』だけだった」というジョークもあるほどにマジで何言ってるかわからんのですが、雰囲気との相性はバッチリ。バスク語で見るのがオススメです。これまじで面白いので絶対見た方がいいですよ!
【予告】