映画感想 - ファイナル・ガールズ 惨劇のシナリオ(2015)
★★★★★
【あらすじ】
20年前のカルトスラッシャー映画「血まみれのキャンプ場」に出演したが、その印象が強くて近年はあまりいい映画に恵まれていないお母さん。娘のマックスはそんな陰気をぶっ飛ばすとにかく明るいお母さんがむちゃくちゃ大好きだったんだけど、脇見運転が引き起こした交通事故で自分を残して死んでしまう。
よそ見すな
3年後、心を閉ざし続けるマックスのもとに親友の兄(ホラーマニア)が「お前の母ちゃんが出てる『血まみれのキャンプ場』を映画館で追悼リバイバル上映するから見にきてよ!宿題やってあげるから」とのお誘いが。お母さんを思い出しちゃうから見たくはなかったけど、宿題やってくれるなら…と参加することに。
もやもやしながらも久しぶりにスクリーン上でお母さんに会えて嬉しいやら悲しいやら…で見ていたら、観客のタバコが酒に引火して館内がいきなり火事に!出入り口にも火の手が回って逃げられないので上映中のスクリーンをやぶって裏から逃げることに。
で、混乱にまみれて逃げていくうちに、気がついたらどこかのキャンプ場で目覚めてしまった。え〜!ここってさっき見てた映画の中のキャンプ場やん〜〜!!とはいえ20年前のお母さんにも会えてめっちゃ嬉しい〜〜〜!!あれ、でもこの映画…「キャンプ場に来た若者が謎の殺人鬼に殺されまくる」というストーリーだから、お母さんも死んじゃう!?やだやだやだ〜!お母さんも死なせずにここから脱出するにはどうしたらいいの〜!?という話
映画の中の役なので厳密にはお母さんじゃないけど、3年ぶりの再会
【感想】
80年代のカルトスラッシャー映画の中に入り込んでしまった若者と、その中で3年ぶりに再会を果たした母と娘の絆を描いたDVDスルー作で、一見つまんなさそうなタイトルとパッケージなんだけど、片時も目が離せない展開がとんでもなく面白く、魂揺さぶられるほど感動したんですけど!!!これマジで最高に面白いですわ!!!今すぐ借りてきて!!!!
「セックスした人から殺されるからお母さんはしないで!」とか「この映画は最後にポーラが生き残る(=ファイナルガール)から、彼女にピッタリついてれば生き延びれるかもしれないぞ!」など、劇中劇の流れやホラー映画の定石を巧みに利用して危機を回避するのも楽しいんだけど、それに加えて映画の中に入り込んでるので「回想シーンに入ると色が消えていって白黒になる」「テロップも見える」「スタッフロールまで空に浮かび上がってくる」といった見たこともない映画ギミックがふんだんに詰め込まれています。この演出、映画に詳しくない人でも「映画の中あるある」としてすごい楽しめるのではないかしら。「殺人鬼に殺される寸前、回想シーンに入るセリフを唱えて回想シーンにワープして逃げる」というとんでもない危機回避も美しすぎる!
回想シーンで出てきた「1957年 夏」の文字をまたぐ
空から流れてくるスタッフロール
劇中のスローモーションのシーンもスローとして体感できちゃう
そんな映画の世界に迷い込んでしまったマックスたちは、脱出したいという気持ちもありつつ、劇中ではお母さんは死んでしまう役どころなので、ストーリーを変えてでももう死なせたくない!また失うのは嫌なの!とあがき続けるんですよ。この娘の姿がめちゃくちゃ泣かせる!!スラッシャー映画を題材にしているけど残虐描写はほとんどなくコメディとして安全に楽しめて、さらに母を慕う娘の愛に涙できるという、おいしいところが少しも無駄なく凝縮したマジの傑作だと思いました。なんで映画館で上映しなかったんだこれ…。
映画らしい色彩感覚・殺人鬼と対峙するシーンでの大胆なカメラワーク・↑のような美しい引きの画と、映像演出も非常によく練りこまれた飽きさせない作りになっているし、結末からスタッフロールのNG集も本当に最高。主演のタリッサ・ファーミガさんも、折れてしまいそうほど華奢だけど泣かせる演技で応援したくなるので、も〜ダメなところない!マジで最高!今すぐTSUTAYA西五反田レンタル館に走れ〜〜〜〜〜〜!!!!!
【最高の予告】