にっきにっき

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寝付きが悪いので「朗読アプリ」を聞きながら寝てみた

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寝付きが悪い。

 

「どこでも寝れる人」という性格の人がいるが、そういう人をいつも羨望の眼差しで睨みつけることがある。布団に入ってスッと夢の世界に落ち、その見た夢を翌日他人に話して「あっそう」と言われるような人が羨ましい。とにかく、すぐ寝れる人から瞬寝(しゅんね)の話を聞く度に、羨望の神・ウラヤマシスが憑依したなと感じる。そんな神は今作ったからいないけど、だってこんなに羨ましいんだもの。

 

そして、「どこでも寝れる」という特性は、どちらかというと男よりも女の人が多いような気がする。加えて、そういう特殊能力を持っている女の子は、かわいい。夜行バスだろうが牢獄だろうが人質にとられて銃口をこめかみに突きつけられていようが、どんな状況でもコテンと寝れる女の子。想像しただけでかわいい。俺もそんなかわいい女の子になりたい。いや、寝付きをよくしてどこでも寝れるかわいい女の子になりたい。

 

そんな中、こういった旨のツイートがタイムラインに回ってきた。

 

 

平たく言うと、「眠くなるもの=講義」ということで、某作家の講演の音声ファイルを流していると、一瞬で寝れる…というものだった。

 

その瞬間、閃きの神・イイアイデアスが憑依した。あと、「いいアイデアすなあ」と思った。早速そういったブツブツ人がしゃべっている音声ファイルを入手しようと色々探してみたところ、「朗読と音」というiPhoneアプリがあった。

 

朗読と音

朗読と音

  • shuichi arimura
  • ヘルスケア/フィットネス
  • 無料

 

これは女の人が文学作品を朗読した音声や、音楽室や雑踏の環境音が多数収録されているアプリらしい。まさに今の私にうってつけであった。無料だったので即ダウンロードした。ちなみに、ダウンロードの神・オトスは憑依してこなかった(存在しないので)。

 

アプリ内には芥川龍之介太宰治夏目漱石宮沢賢治など、誰もが知っている文学作品の朗読音声が並んでいた。課金すればさらに色々な作品がダウンロードできるらしい。無料で聞けるものの中で一番長かったものは、太宰治の「饗応夫人」という短編(23分)。初めての夜は太宰にしよう。さすがに23分もあれば聞いてる間にスッと寝れるでしょ。時計は0時半を指していた。涼しかった。

 

いよいよ布団の中(※掛け布団と敷布団の間です)へ滑り込んだ。すぐ隣で妻が寝ているため、スマホから垂れ流すのは気が引ける。ということで、左の耳だけにイヤホンを詰め込むことにした。そして右半身を下にして横を向いた体勢。スマホは顔の前。これを読んでいる人の脳内に私の寝る体勢が完全に頭に入ったところで、再生ボタンを押した。あまり音声が大きすぎると逆に読破(聴破??)してしまいそうだったので、ほんのり聞こえる程度にボリュームを調節する。「饗応夫人 太宰治」という落ち着いた優しい女性の声が聞こえた。声、やさし…。優しいわ…。う〜ん…良い…。良さだ…顔も想像できる。非常に清楚で美しい顔立ちをしている…。ほう…趣味はフルートとピアノ?お父さんが作曲家でお母さんがアメリカと日本のハーフですか…そんな恵まれた環境で両親の愛情を受け続けた音大卒のクオーターの娘、絹江…。そこまで想像できた。これはすぐ寝れそうだ…。でもちょっと寝返りうとう…。

 

と、イイ感じになりながらも仰向けに体勢を変えた時、「ガサガサガサ」という布の擦れる音がやさし声をかき消してしまった。え?今ガサガサしてる間になんて言ったん?気になる。気になるし、気になっている間にもどんどん話は進んでいって、理解が遅れる。さらに仰向けになった時、左耳にイヤホンをしているおかげでコードが自分の口の下を通って横断したのだ。顔横断ウルトライヤホンである。この鼻と口の間の溝に触れて自分の顔を横断するイヤホン、めちゃめちゃ気になる。私の散漫になった集中力など知る由もなく、絹江の朗読は淡々と進んでいく。こんなマイペースな性格もなかなか良い…、でもやっぱりさっきの体勢に戻ろ…ガサガサガサ!えっ今何て?何て言った??

 

最早朗読ではなかった。 体勢を変えると聞こえなくなって気になるし、かといって仰向けになるとさっきのようにイヤホンが顔にかかって気になる。そしてこの思考はやがて、「同じ体勢で1mmも動くことは許されずに全神経を朗読を聞くことに集中しなければいけない」という強迫観念に姿を変えていた。手段が目的になっているのに、それに気付かず人知れず発狂している中年男性が闇夜に潜んでいたのだ。さらに言うと、音声を聞いていることに全神経を集中させているはずなのに、ほとんど理解できていなかったのである。一体これは何の時間なんだ。何をしているんだ俺は…。

 

と、そうこうしている内に、音声が聞こえなくなってしまった。饗応夫人が終わったのだ。気になり過ぎて、23分経ってしまった。え、何それ…もう終わったの?23分経ったってこと?ていうことは、0時半に聴き始めたから、なんやかんやでもう1時になってるってこと?下手に目を開けて現時点まで溜め込んだ眠気を0にはしたくないのでもう時計見ないけど、そういうことでしょ?なんなの?普通だったら終わるか終わらないかの間にもう朝になってるはずじゃないの…?そして「やっぱインターネットの知識最高や!」って思いながら爽やかに目覚めて元気よく出かけて仕事もバリバリこなして2億円の仕事引っ張ってきて女にもモテて10億円拾ってその10億円をホームレスに全部あげたら実はホームレスのフリをして世の中の動向を見ていた物好きの大企業の社長で、最終的にお礼として3000兆円くれるみたいな流れを期待してたのに、まだ夜も明けてないんだが?一体どういうこと?

 

全てが気になる。

 

気になる。

 

気になる…。

 

 

 

 

 

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最終的に2時40分まで寝付けなかったので、もう朗読聞いて寝るのやめます。工事が完了した建物も見に行きません。さようなら。