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映画感想 - 降霊 KOUREI(1999)

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降霊

★★★★★

 

【あらすじ】

TVマンの佐藤は妻とともに郊外で慎ましく暮らしているのだが、妻は降霊術を持っていた。ある日佐藤は音源収集のために森の中の音を録音している時に自分の荷物に誘拐から逃げてきた少女が紛れ込んだことに気づかず、そのまま帰宅してしまう。妻は少女を利用して霊能者としての名声を得ようとするが、二人の歯車はやがて狂い出していく…な話

 

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【感想】

黒沢清監督の、20年前の心霊+サスペンスの傑作。あの〜、これめちゃめちゃ怖かったんですけど!?!?何ですかこれ?やば…。まず二人が見えてしまう幽霊の全ての登場シーンにジメジメとまとわり付くような寒気が怖い!!ビビらせ音は使わずにあくまでしっとりと、ジャパニーズホラーの基礎を抑えながら演出面で最高峰に食い込むほどの恐ろしさでしたね。ファミレスの席に気づいたら座ってたり、木陰に佇んでいたり、ちゃんとドアを開けて入ってきたり。この「…いる!」という感覚が最悪な割に、特に呪い殺したりせずにただ心を追い詰めていくっていうのも無限地獄な感じで怖い!加えて佐藤たちが「幽霊に対しての罪悪感」で精神的に締め付けられるのも居心地が悪くて素晴らしい!

 

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かと思えば誘拐した少女をめぐったサスペンス的な要素や、人間のうちに潜む狂気や感情の爆発なんかも心に大ダメージを与えるほどの嫌さに満ち溢れていて、バランス感覚すごすぎる…と改めて感じました。なのに改めて全体を通して振り返ると、全てのシーンが唐突でブツ切りだったり、そもそも妻が降霊術あるのかすら怪しくなる構成だったり、無茶な展開もあったり、やけにシュールなシーンもあったり、あと黒沢清お得意の「動いてない車に効果音をつけて走ってるように見せるシーン」とか、あまりにも予想外な哀川翔の登場など、見るものを不安にさせる歪さもまた凄まじかったです。配信とかはされてなくてDVDでしか見る手段ないけど、TSUTAYAに寄ることがあれば是非借りて欲しいですね…

 

【ワンシーン】