映画感想 - ヴィジット(2015)
★★★★★
【あらすじ】
両親の離婚のショックから立ち直ることが出来ないベッカちゃん(姉)とタイラーくん(弟)が、カウンセラーをしている祖父母の提案で、彼らの家で一週間のんびり過ごすことに。初対面ながら優しくしてくれるし楽しく過ごせるな〜と思ってたのに、夜になるとジジイとババアのめちゃめちゃな奇行が目立つようになってくる。一体何なんだこいつらは…と帰りたくなるんだけど田舎だからそう簡単には帰れない…早く一週間過ぎてくれ…ってなる話
【感想】
「シックスセンス」やら「サイン」でスリラー撮らせたら天下一ぐらいの名声を得たけど「レディ・イン・ザ・ウォーター」や「アフター・アース」「エアベンダー」とかのSFものでスベリまくってオワコン扱いされてたM・ナイト・シャマラン監督が久々に原点回帰で頑張ったスリラー。全体を包み込む不気味な雰囲気が超絶いいし、何よりジジイとババアの奇行がヤバい!ホラーなのに、めちゃめちゃ怖いのに、笑っちゃう!
物音がするのでこっそりドアを開けたら、手を後ろに組んでドタバタ走り回ったりするのが見える↑のシーンはほんの序の口で、他にもかなりキツめの奇行が目白押し。祖父母とはいえ、家の中でこんなことされたらマジで気が狂うわ…ってなるけど、同時に笑いもジワジワこみ上げてくるこのバランス感覚がすごい。監督自身もここに関しては怖さと笑いを追求して作り上げたらしいので、まじで一見の価値ありです。「ババアの奇行」って自分に被害が及ばないところから俯瞰して見るとギャグ以外なんでもないからね…。次はどんな奇行を見せてくれるの…と怖いのにだんだん欲しくなるこの中毒性が最高!
で、今回は無名の役者を使って手持ちカメラだけで撮ったPOV手法+ほとんどCG無しで全編作ったのでリアリティがあるんだけど、姉が「母親が過去に家出して、そのまま連絡も取らず絶縁状態にあったので祖父母が娘(=母親)に対してどう思っているかをドキュメンタリー映画を作ることでみんなの気持ちを探って、あわよくば和解してまた家族全員で仲良く暮らしたい」という思惑があるんですよ。この設定をのっけることでただ流行ってるからではない「POVで無ければならない意味」がより一層深掘りされてて非常によかったですわね〜。
スリラーとしてもクオリティが高いのにそこで終わらせずに人間ドラマもしっかり描くところにシャマラン is backて感じでグッドではないですか!?と思いました。でもやっぱりババアの奇行がインパクトありすぎるので、何の気無しに見るとそこのシーンだけが記憶に残っちゃう可能性あるね。漫☆画太郎が描くババアとかキャシィ塚本に通ずるものがあるから…。
無名ながら鬼気迫る演技を見せつけた役者陣、シャマランお得意のストーリーライン、怖さを煽る音楽、そしてババアの奇行と、それぞれがかなりいい感じだったのでシャマランにはこれからも頑張って欲しい〜!「ハプニング」とか「サイン」辺りをもっかい見直したくなりました。敬具
カサカサカサ…!
【予告】
ちなみに、予告でさんざん言われてた「楽しく過ごすこと」「遠慮無く食べること」「夜9時半以降は部屋から出ないこと」の三か条は、特に劇中で言い渡されるわけではありません。