映画感想 - ファーゴ(1995)
ファーゴ
★★★★☆
【あらすじ】
自動車販売店の営業担当ジェリーは多額の借金を抱えており、どうしようかと悩んだ末に、「自分の妻をわざと誘拐させて、義父に身代金を払ってもらう」という狂言誘拐を思いつく。整備工場にいる男から紹介されたゴロツキ二人組と打ち合わせをし、報酬として自分の店の車を勝手に引き渡す。
かくしてゴロツキによる誘拐自体は成功したが、郊外の小屋に向かう途中で警官に出くわしてしまい、口封じのために殺し、さらにそれを目撃した市民までも殺してしまった。狂言なのにヤバイ…。そして地元の婦人警官マージが捜査にのりだす。雪の降りしきる静かな町で起こったこの事件の結末やいかに。
【感想】
ドラマ版の「ファーゴ」がNETFLIXにあって、それがかなり面白いという噂があるので、たしなみとして原作映画をチェックしました。良いですね、これ…。シンプルな狂言誘拐のつもりがゴロツキの暴走による殺人からどんどん悪い方向に転がっていくさまは悲しくもありおかしくもあり。小さな田舎町でこんな負の連鎖が…とどんどん冷たく重い空気がになっていくんだけど、それを上回るほどに登場人物がもれなくマヌケで、結果的にいい感じに中和されてむしろコメディ寄りな見え方になってたのがバランス感覚すごいなと思いました。
ゴロツキの片方がスティーブ・ブシェーミ(変な顔の人)っていう時点で良い上に、聞き込みで目撃者がみんな「変な顔だった」っていうのも最高だし、妻の逃げようとする様子も必死すぎて逆に面白くなるし、ジェリーが警察から疑いをかけられてやきもきしてる時に手持ち無沙汰の余りメモ帳に延々とペンでグルグルと細かい丸と一筆書きで埋め尽くそうしてるシーンが差し込まれてる…など、細かすぎる小ネタを散りばめていて、それがまた良いんですよね。こういう状況になったらみんなこうすうだろうな…みたいなあるあるに満ちているので。
また、雪の積もる町を遠〜〜いカットで撮影する手法や、時折挿入されるしずかなトーンの音楽も心地がよく、そういう意味でも記憶に残る仕上がりになってましたね。ちなみに「これは実話である」と最初に入るけど、嘘らしいです。コーエン兄弟いわく「そっちの方がみんな見に来るから」だって。すごい…。
そして劇中で雪の中に埋めてそのまま放置された身代金を、映画を実話だと信じだ日本人女性が実際に探しに現地までいったというマジの実話があり、それが「トレジャーハンタークミコ」という名前で菊地凛子主演で映画になってるそうです。この映画の存在は知ってたけどまさか元をたどるとここにつながるのか〜へ〜ってなりました。
【予告】
【ドラマ版も見よっと】