映画感想 - スペクトル(2016)
スペクトル
★★★★☆
【あらすじ】
東欧モルドバにて内乱が発生中。事態を鎮圧させるためにアメリカ特殊部隊が派遣されていたが、デイヴィス軍曹が謎の死を遂げる。彼が装着していたゴーグルの録画映像には、正体不明の幽霊の姿があった。
モルドバにはこのような「肉眼で見ることができない」、「武器も全く効かない」、「さらに触れられると一撃で殺される」という怖すぎる幽霊「アラタレ」が大量発生していた。幽霊vs軍隊のバトルが始まるけど、勝ち目あるの〜!?そもそも原因は一体なんなの〜!?な、話
【感想】
NETFLIXオリジナルのSFミリタリーアクション。正体不明の幽霊軍団VS近未来特殊部隊の死闘を描いているんだけど、とにかく「NETFLIXの資本力、すごすぎ…」という感想しかわかない痛快なやつであった。特殊部隊のメカニックデザイン、アーマー造形、四足歩行ロボット、そしてモルドバ市街地の戦乱の爪痕などなど、とにかくハリウッド映画顔負けに作り込んでいる!どんどんオリジナル作品のスケールがでかくなっているような気もする(そんなに数多く見てるわけじゃないけど)。
幽霊の正体も、予想の範囲では「内乱で死んだ市民の亡霊かな?」とか思ってしまいがちだけどもちろんそんな安直なものではなく、うおおお〜と唸ってしまうような正体だったな。とにかくめちゃめちゃ強いんですよ。見えない、速い、多い、通常の物理攻撃は効かない、触ったら一撃死、そして正体不明。怖すぎでしょ!そんな勝ち目ゼロな状況の中、主人公のクライン博士が目の覚めるような仮説をたてて対策を練っていき、最前線で戦う屈強な男たちが決死の戦いに挑むという構図も脳筋映画ではない感じで良かった。よくよく考えたらシリアスで笑いを排除した「ゴーストバスターズ」だな…うん。でもなかなか面白いので見てみてはいかがでしょうか。
【予告】
映画感想 - 人喰いトンネル(2010)
人喰いトンネル
★★☆☆☆
【あらすじ】
トリシアの家に、放浪の旅に出ていた妹のキャリーがやってくる。トリシアは7年前に夫が失踪して、捜索の甲斐も空しく近々死亡証明書が発行されようとしており、それが気になって訪れたのだ。しかし調査にあたっていた刑事のダニーとイイ感じになって子どもを身ごもっていたのが原因か、夜な夜な夫の幻影に悩まされるようになる。
そんな中、トリシアとダニーは気分転換にデートしようとするが、家の前に夫が7年ぶりに廃人同然の姿でふらっと現れたのである!一体どこに行っていたのか…?
【感想】
「オキュラス 怨霊鏡」「ソムニア 悪夢の少年」「サイレンス」のマイク・フラナガン監督の2010年のやつ。タイトルの通り異界とつながっているのかもしれないトンネルで人が次々に行方不明になっていくやつ。マイク・フラナガン監督はめちゃめちゃおもろいことでおなじみだったけど、これはまあイマイチだったかな…。
具体的に正体が分からないままかなり消化不良で終わってしまうのはちょっと…。分からないまま終わることが逆に良い効果を生む時もあるけど、これは知りたいよ!現実なのか虚構なのかの境が分からなくなってしまうところや、絶妙なタイミングで驚かしてくる幻覚などはレベルが高く、さらに次作の「オキュラス」に通ずるものがあって、そういう意味ではマイク・フラナガンの原点っぽい感じがあったかな。
【予告はめちゃめちゃ面白そうだけどな】
映画感想 - イコライザー(2014)
★★★★☆
【あらすじ】
ホームセンターで働くロバートは、マジメで規則正しい生活を送る優しいおじさんであった。夜中にカフェで読書をするのを日課としていると、水商売をしているアリーナと出会う。夢は歌手である彼女と仲良くなるが、変な客に歯向かったおかげで裏で牛耳るロシアンマフィアの元締めに半殺しにされてしまう。
その話を聞きつけたロバートは単身 元締めのもとに向かいアリーナを引き取ろうとするが、断られた上にバカにされたのでそこにいた子分4〜5人もろとも、19秒で始末してしまった。実はロバートは元CIA工作員で、その場にある物を使って人々をぶっ殺すプロなのだった…!うっかりマフィアを殺してしまったことでさらに上のマフィアのテディ一味に目をつけられてしまう。一体どうなる?
【あらすじ】
実はめちゃめちゃ強いおじさんが世の中の悪をぶっ潰していく痛快なアクションもの。良い。話がシンプルで「アリーナを助けにマフィアの小物を殺しまくる」→「さらに上のマフィアがやってくる」→「さらにぶっ殺す」という分かりやすさの極地なんだけど、デンゼル・ワシントンが余りにもカッコ良すぎるので全てが許される感じになっていたな。
この一瞬で銃を奪う瞬間!良い!
タンカー爆破を背に振り返らずに去る!これは笑っちゃった
みたいな感じで、デンゼル・ワシントンのカッコ良さ・渋さが十分すぎるほどにじみ出てるので良いです。あと娼婦役のアリーナがクロエ・グレース・モレッツで、俺はかなりクロエちゃんが好きなのでボコボコにされてめちゃくちゃ可哀想…早く粛清してくれ…!と拳を握りましたよね。娼婦役もかなりエロいのでそういう意味でも最高。
スプリンクラーで水が撒かれる中、ゆらりと現れるのはシビれる
【予告】
映画感想 - ヘルレイザー(1987)
★★★★☆
【あらすじ】
「組み替えることで究極の快楽が得られる」という伝説を持つルマルシャンの箱を手にしたフランク。そして粛々とパズルをいじくり回した挙句に箱を組み替えることに成功するが、その代償として肉体は粉々になってしまった。
数年後、フランクの弟ラリーは、死別した妻の後妻となるジュリアとともに兄弟の生家に引っ越してきた。新生活を喜ぶラリーだったが、荷物を運んでいる最中に怪我をしてしまい、屋根裏の床に滴る。その血が床に吸い込まれていった影響で、その夜なんとフランクが地獄から蘇ってきた!しかしフランクは骨と皮しかない人体標本のような醜い姿であった。
実はフランクと不倫関係にあったジュリアは、蘇ったフランクを完全な肉体にするために多くの血が必要と説明され、夜な夜な男を連れ込み、殺し、吸収させていった。そのことに気付いたラリーの娘カースティは、ルマルシャンの箱を偶然持って逃げ出し、さらに地獄からやってきた魔道士(セノバイト)たちと対峙する…一体どうなる!?
【感想】
30年前のカルト的な人気を誇るホラー。ピンヘッドを始めとする魔道士(セノバイト)のビジュアルが最高にカッコイイ〜〜〜〜〜!やっば〜〜〜。
このカッコ良さ、ちょっとえげつないレベルだったので、そりゃ根強いファンもいるのも納得だな〜と思った。もっといっぱい暴れまわるのかと思ったら、意外と出番は少なく後半30分ぐらいだったけどね。「地獄から蘇ったフランクが肉体を取り戻そうとする」ってところが基本的なストーリーで、つっこみどころもありつつフランクが死に物狂いで生きようとしている姿がなかなか印象的であった。復活してくるシーンもかなり鮮烈で見る価値はあると思う。
↑肉体がまだ戻ってないフランク
今見ると時代を感じる髪型や服装、ややしょぼめのCGなど見劣りする部分はあるけど、そのあたりに目をつぶればそれなりに楽しめると思います。とにかく魔道士たちの世界観と造形ビジュアルが余りにも凄い。まあファンは多いから今さら自分が言うほどのことでもないけどね。ところで続編がめちゃくちゃ出てるけど、面白いのかな?どんどんつまらなくなっていったらどうしようと思うと、なかなか食指は動かない。
【予告】
映画感想 - オキュラス 怨霊鏡(2015)
オキュラス 怨霊鏡
★★★★★
【あらすじ】
古物商のケイリーは、11年前に両親を亡くした上に弟のティムも殺人罪で精神医療施設にぶち込まれるというつらぽよな過去があった。ケイリーは当時から家族を狂わせたのは家にあった「鏡」が原因であると結論づけていたので、ティムが退院したタイミングで二人は当時の家で再び鏡と向き合う。鏡に人を狂わせる魔力があることを証明するために…。
【感想】
聾唖の小説家が殺人鬼に襲われる「サイレンス」、夢が具現化しちゃう少年を巡るファンタジー「ソムニア 悪夢の少年」がめちゃめちゃ面白かったマイク・フラナガン監督の、少し前のやつ。結論から言うと、めちゃくちゃこわ面白い…。この監督、ハズレなさすぎ…っっっ!
まずお伝えしなければならないことは、中盤以降、「鏡に呪われてしまった父と母から逃れようとする姉弟の過去」と「10年後に再び鏡と対峙する現在」が見事すぎる映像マジックで鮮やかに交錯していくんですよ。こんな演出、今までに見たこと無かった!「過去に何があったのか」と「鏡にリベンジを果たすことは出来るのか」という二軸のストーリーをここまで大胆に過去と現在を織り交ぜて見せられるのかよ〜とかなり感動いたしました。これは一見の価値ありだと思います。
鏡は具体的に呪いを発するとかそういう見た目の分かりやすさではなく、気がついたらおかしなことになってるという幻覚を見せてくるのがまた怖かったな。ちょっと目を離した隙に設置していたカメラや植物が動いていて、録画していた映像を見返したら実は自分たちが動かしていた…とか、リンゴをかじりながら切れた電球を取り替えていて、再びリンゴをかじったらそれは電球で、口の中が血だらけになってア゛〜〜〜〜〜ってなったと思ったら本当にかじっていたのはリンゴだった…という感じで精神的にジワジワ追い詰められていく描写がとても良かったぞ。
そういう感じで、過去と現在の交錯と鏡による幻覚で、何が真実で何が幻なのか、ほんとに全く分からなくなってくるのも怖かったな〜。全ては姉弟の妄想なのか?という見方すらありえてくる怖さったら。ホラー演出は極力おさえつつ、安易に驚かさない堅実な怖さを突き詰めて派手なゴア描写は無く、コアなホラーファンはそういう演出面では物足りないかもしれないけど温度感としては全く問題ないかなと思いました。むしろ全年齢で見れる健全さもあるのではないかな。は〜面白かった。最後まで惑わされ続けた挙句の、全く救われない無い展開も最高!マイク・フラナガン監督、すごすぎ!
【予告】
【マイク・フラナガン関連】
神がかった面白さ
設定一つなのに圧倒的に面白い
映画感想 - ドント・ブリーズ(2016)
★★★★★
【あらすじ】
育児放棄された少女ロッキーとその妹は、終わってる両親たちとの生活から抜け出したいと思っていたが、そのためには多額の金が必要だった。と言ってもそんな大金が簡単に舞い込んでくることなどあるはずも無く、無意味に空き巣をして自堕落に生きていた。
そんな状況の中、彼氏のマネーがとある情報を入手する。それは「街のはずれに住む退役軍人のジジイ、自宅に30万ドル以上隠し持ってる説」というものだった。コソドロ友達のアレックスも巻き込んでいたロッキーは、これで最後と3人でそのジジイの家に忍び込む決意をする。金を盗んで、妹と一緒に新天地で暮らすのだ…!
裏口から回ってセキュリティアラームを解除し、窓を破って滞りなく侵入。そして怪しい部屋に目星をつけて鍵をこじ開けたところで、眠っていたはずのジジイが目を覚ましてきた…。
ジジイは盲目。こちらは銃がある。脅せばすぐに終わる。マネーはそう思っていた。しかしその目論見はもろくも崩れ去る。何故ならジジイは盲目というハンデがまるで無いかのような超人的感覚の持ち主だったからだ!そして一瞬で銃を奪いマネーを羽交い締めにし何のためらいも無くぶっ殺してしまう!やばい!!存在が知られると私も殺される…!さらにこの殺人鬼ジジイはたちまち全ての出口に錠前で鍵をかけ、侵入した窓を板で張り、閉じ込めてしまった。ロッキーとアレックスは息もできないこのやばすぎる状況から逃げられるのか…?
【感想】
この冬、もっとも注目すべきホラー、ミラクルパワー(試写会)にて観賞。めちゃめちゃこわ面白い!!!!「家に侵入したら盲目の殺人鬼ジジイに返り討ちにされる」っていう設定の時点で絶対に見なければならないやつだ…と確信させてくれつつ、アイデア一発勝負で終わらないしっかりとした恐怖と威圧感で90分満たしてくれたのがマジで素晴らしかったです。
あっさり人を殺すシーンを見て完全にやばいジジイっていうことを登場人物&観客の頭に強烈に叩き込んだところでジジイが再び姿を現すと、「存在がバレたら殺される…!」という気分になって見てるこっちもマジで息を止めちゃうんですよ!この張り詰めた緊迫感の表現が余りにも凄まじかったな。ほんとに一定時間「無音」になるんですよね。そしてじっくり辺りを観察し、また消えていく…というこの緊張感、最高すぎ。クゥ〜〜。ちょっと長めのワンカットも効果的に使ったり、鍵がかかった地下室の先にあるものも話を転がすのにうまく作用していてお見事だったな。その後も全く飽きさせない展開で最後まで驚きと怖さのラッシュで大満足!素晴らしいわ!
見てください、ジジイによって電気のブレーカーを落とされ、完全な闇が広がった時の、ロッキーのこの表情。1000億点でしょ!リメイク版「死霊のはらわた」で取り憑かれるミアを演じたジェーン・レヴィさんによる圧倒的な演技も大変良かったし、アレックス役のディラン・ミネットも頼りなさそうで必死に頑張る様子もなかなかいい感じ。そしてこの映画を最高なもんにしてくれたのは、もちろんジジイ役のスティーブン・ラング…。
威圧感、恐怖感、サイコパス感、悲壮感、全ての感情をごちゃ混ぜにして「理解不能なやばいジジイ」を猛然とやりきっておりました。コワすぎ。話はシンプルだけど片時も目が離せない展開と緊張感は超必見!16日公開だから、絶対に初日に見に行ってくれよな。
【予告】
映画感想 - ブレア・ウィッチ(2016)
ブレア・ウィッチ
★★★☆☆
【あらすじ】
ヘザーはかつて魔女「ブレアウィッチ」の伝承を調査するために森に入り込み、消息を絶った。20年後、ヘザーの弟ジェームズはyoutubeでヘザーらしき人が映った動画を発見する。姉を救うため、そしてブレアウィッチの謎を解くため、仲間とともに森へ入り込む…。
【感想】
面白さの推移は、下記です。
後半30分、目的地である森の奥にたたずむ家を見つけてからが全て。POV史上まれに見る圧倒的怖さと面白さと強インパクトと、「何で前作のラストカットでマイケルが壁に背を向けて下を向いて突っ立っていたか」の理由が20年の時を超えて分かるという最高の仕上がりになってて圧倒されてしまった。ここだけは本当に見る価値はあると思う。でもそれまでの1時間が「いつものPOV」の枠から脱せてないような感じはしたかな〜。森のなかに何かいる恐怖感はかなりいい感じではあるけど結構この手のジャンルは色々と穴が開くほど見ているので、終始ウトウトしてしまうし、登場人物もギャーギャーうるさいし、バカな行動とるし…。
小型カメラを一人一台耳にセットすることで多くの登場人物の視点を切り替えて展開できたり、両手があくことでよりアグレッシブな動きを表現しつつ「何でこんな状況でカメラ持って写してるの」っていう永遠の違和感を脱したりという利点があったかな。そのあたりの映像技術はかなりめざましく進歩してるな〜と思ったし、ドローン空撮やGPSなどを駆使して「絶対に抜け出ることが出来ない感」をさらに強めたりするのは良かったんだけど、良かったんだけどね…、ラスト30分のために前半がやや単調になっている感が否めない…!
あ、あと突然横から仲間が出てきてビックリ!というあんまりやってほしくないビビらせを短時間に何回も重ねてくるのも気になった。何故音もなく近寄ってくるんだ!みたいな。う〜ん。とは言え個人的に監督・脚本のアダム・ウィンガード&サイモン・バレットのコンビはかなり好きなので、今後も頑張って欲しいな〜と思っております。NETFLIXオリジナルで「デスノート」も楽しみ。
【予告】
【アダム・ウィンガード&サイモン・バレット関連】
映画感想 - ゲヘナ 〜死の生ける場所〜(2016)
ゲヘナ 〜死の生ける場所〜
★★★★★
【あらすじ】
サイパンのリゾート地に降り立ったポリーナは、ちょっといい感じの男テイラーとカメラマンのデイブ、不動産同業者のアラン、そして現地コーディネーターのぺぺとともに新たなリゾート開発を行うために現場を視察していた。
かつてこの地は神聖な土地の伝承があったが、戦時中に侵され日本軍の駐屯地になっていたといういわれがあった。そんないわくつきの開発予定地の奥に、旧日本軍が暮らした塹壕があることに気付いた5人はここも調べておかなければと入り込む。しかし次々を怪奇現象が巻き起こり、異形の者が蠢き、数々の呪いが降り掛かる!恐怖のドン底に叩き込まれた一行は生きてここから出ることができるのか?
【感想】
ハリウッドの特殊造形クリエーターの片桐裕司さんが初監督をしたホラー映画で、クラウドファンディングのサイト「キックスターター」で資金を募って数年の構想を経て作り上げた意欲作。
こちら、日本初上陸の「東京コミコン」で初日の最後を飾る映画のプレミア試写会というミラクルパワーで見ることが出来ました。まだ全国公開の予定は無いほどできたてホヤホヤで、ここで見た人が初めて本作を見た人々、ということでなかなかハードルは上がって「これでつまらなかったらどうしよう…」と少し心配していましたが、杞憂でした。
ジャパンホラーとハリウッドホラーのおいしいところを上手く混ぜ合わせて飽きさせずに怖がらせるホラー演出がお見事!終盤に明かされる塹壕の真相は若干「もしやこうじゃね?」とやや予想できてしまいましたが、だからと言ってそれが興ざめになることは無いんです!ここ重要。で、非常に巧妙に伏線が貼られた素晴らしい展開で畳み掛けてくれて、「クゥ〜!」とスカッと気持ちよい鑑賞後感がありました。スタッフロールで英語で「監督はクリエイティブ面で手塚治虫に非常な影響を受けた」的なことが書いてあったのも、確かに感あり。
旧日本軍の塹壕内の雰囲気やアイテムなどの造形はとても細かく作られていてそれっぽさがあり、ここは監督のノウハウが詰まってるなと思いつつ、お化けのクリエイティブもきもくて良い。何かしら登場人物のトラウマが具現化してくる(本人にしか見えない)ってのがまたいいんですよね。そんな感じで登場人物の愛憎や過去も少しずつ深掘りされて共感も湧いてくる、バランス感覚に優れた良作でした!オススメ!全国公開できるといいですね。
【予告】
【2018/12/18追記】
「未体験ゾーンの映画たち2019」にてついに上映されることになりました。やったぜ!
【2018/7/30追記】
ようやっと公開されるみたいなので、是非どうぞ
【東京コミコン行ってきた記事もこっちで書いたよ】
映画感想 - サウスポー(2015)
サウスポー
★★★★☆
【あらすじ】
過激なファイトスタイルで次々と相手を沈めてきたプロボクサー、ビリー・ホープは美しい妻と素直な娘、そして敏腕プロモーターやスタッフ(ギャングみたいな奴ら)に囲まれ何不自由なく過ごしていたが、とあるパーティーで次期対戦相手候補エスコバルの挑発にまんまと乗ってしまい、大乱闘。そしてエスコバルの兄弟が持っていた銃の流れ弾が妻に被弾し、死んでしまう。
そこから人生に暗雲が立ち込め、ストレスが募った挙句に次の試合でレフェリーに頭突きをかまして1年間の謹慎処分。さらにそこから自殺未遂などの自暴自棄に陥った結果、裁判所から娘を施設に預けさせる命令が下った。金も無いので豪邸も売り払い、プロモーターも離れて、気づけば全てを失ってしまった…。そんな中、かつて一度だけ自分を苦しめた対戦相手のトレーナー、ティックのもとを訪れ、唯一の家族である娘のためにもう一度やり直す決心をする…頑張れビリー・ホープ!な話
【感想】
ビリー・ホープを演じたジェイク・ギレンホールがまじでやばすぎるという一言に尽きる最高のやつ。
その前に出演した社会派サスペンス・スリラー「ナイトクローラー」ではサイコパス役でこんな棒みたいな体だったのに
何この体…ヤバすぎ…。8ヶ月にも及ぶ鬼のようなトレーニングで仕上げたそうです。役者として一直線かいっっっっっこの姿勢っっっ!結果、100の幸せ期からマイナス100億兆のドン底期、そしてそこからようやっと30ぐらいまで戻す復活の過程をめちゃくちゃソウルフルに演じきって、こちらも魂を揺さぶられるような深い感動と爽快感を味わうことができましたよね。ストーリー自体はラスト10分のどんでん返しみたいなのは無くてめちゃ王道を突き進んでるけど、その「王道」を極限まで洗練させたような仕上がりで見る価値ありすぎ〜と思いました。
タイトルが「サウスポー」にも関わらず、ビリーは右利きだし左ストレートが必殺技っていうわけでもないのがキモ。それなのにこのタイトルをつけているのがとても良かったな…。最後の試合見てたら分かると思うけど、過去の自分を捨てて新しく生まれ変わろうという強い意志が込められていたのではないでしょうか。違ってたら教えてください。
↑ここまで来るのに、どれほどの苦難の道があったか!最後は清々しい気持ちになれるのでオススメです。しかし、自分の短気な性格が災いして奥さんを死なせるってどれだけ後悔してもし足りないよね。自分に置き換えたとしたら間違いなく自害してるわ。そこまでキレないでくれ。
【予告】
【格闘技関連】
究極的面白さ
【ジェイク関連】
至高的面白さ
映画感想 - この世界の片隅に(2016)
★★★★★
【あらすじ】
呉にお嫁に行き、新しい家族と新しい環境に囲まれて戦禍の被る日本をたくましく生きるすずさんの話
【感想】
あまりにも最高すぎて言葉が見つからね〜〜〜〜〜〜。死ぬほど緻密な時代考証と取材を経て描かれた戦時中の広島での人々の日常の暮らしが色濃く力強く描写されて、なんと強く生きる人々よ…と思いました。
特に前情報を得ず、ネットの「良い」という感想だけを頼りに見たので暗い雰囲気なのかな〜と思いきや、戦時中にも関わらずすこぶる明るく楽しく笑顔が絶えない、見てるこっちもクスッと笑ってしまうような日常の一コマが連なって人々の生活が垣間見えたのが大変素晴らしかったです。空襲の描写もマジでめちゃくちゃ怖いのに、何回も警報が鳴り響くあまり「警報もう飽きた〜」って言っちゃうこの日常感、誰が描けます!??そして、途中でマイナス100億ポイントぐらいの最悪な境遇になって「(俺を)殺してくれ〜〜〜〜〜」っていう気持ちになるんだけど、それでもその後すぐまた日常に戻ってみんなでほのぼのするシーンが入り込むんですよ!!この何でもないほんわかする展開のなんとありがたいことよ!!!!!!これほどの人間の強さありまっか!!??圧倒的人間賛歌!!!!!人間賛歌は勇気の賛歌!!!!!!人間の素晴らしさは勇気の素晴らしさ!!!!!そんな最高のメッセージが込められてる映画です。明日にでも見に行ってください。
そしてのんさんの境遇がすずさんの半生と余りにも合いすぎて、代役が考えられないほどのハマリ役でしたよね…。そんなのんさんが声優で出演している兼ね合いの†闇†問題で、こんだけ最高にも関わらずTV媒体は事前に一切取り上げない上に、広島国際映画祭で「ヒロシマ平和映画賞」を受賞したこともほとんど知られてないのって、マジでヤバくないですか?すずさん同様、TVの報道無しの逆境を跳ね返せるようにこの最高さが世界中に広まるといいですね…。敬具
【11/22 追記】
もともとはクラウドファンディングサイト「Makuake」で資金を募って公開までこぎつけたらしいんですが、現在第二弾のクラウドファンディング計画が始まったそうです。
【予告】