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映画感想 - ナンシー(2018)

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ナンシー

★★★☆☆

 

【あらすじ】

瞬きをするように嘘を付く女ナンシーは、今日も派遣先で「北朝鮮に旅行したことあるよ」と明らかな嘘をついていた。SNSにも依存し、知り合った相手にも嘘を付く。そんなある日30年前行方不明になった少女を捜索する家族がテレビで涙ながらに訴えているのを見る。当時の写真からCGで予想した現在の少女の顔は、ナンシーそのものだった。まさか自分は誘拐された…?な話

 

【感想】

ポスタービジュアルやストーリーラインがやけに引き付けてくれるインディー作品。そしておそらくこれが今年の最後の未体験ゾーン作になりそう。主演のアンドレア・ライズボローさんはニコケイの怪作「マンディ地獄のロードウォリアー」で不思議な魅力に包まれた妻役(かなり序盤で焼き殺される)が印象に残ってて、本作でも嘘に包まれて全く本質が見えない女を見事に演じきってましたね

 

嘘しかつけない虚言女が30年前に娘を誘拐された家族の元を訪れ、記憶を辿りながら出自を探る…見てる側もどうせ嘘だと思いつつ、受け入れる家族もある程度疑ってはいるものの、それまで体験したことのなかった擬似的ながらも確かな「家族の愛」を感じ取り、ナンシーの心に大きな影響を与えていく…。傷ついた人々同士が身を寄せ合いながらも今を必死に生きて、嘘で自分を塗り固めたナンシーにのしかかる描写は非常に切なく、胸が張り裂ける…。そんな感じで静かに展開していくドラマでした。ラストシーンのやりきれなさは一見の価値あり…

 

アンドレアさんもインパクトを残しながらも、SNSで知り合う男のチョイ役にジョン・レグイザモ(「スーパーマリオ魔界帝国の女神」のルイージ)、そして父親がスティーブ・ブシェーミ(めちゃくちゃな顔面)と、映画ファンなら嬉しい配役もありつつ、インディー作品ながら最後まで切なさと寂しさの余韻が強い逸品でしたね。敬具