にっきにっき

映画の感想ばかり書いているスーパーミラクルブログです。あなたのスターをお待ちしております

映画感想 - フラクチャード(2019)

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ラクチャード

★★★☆☆

 

【あらすじ】

車での移動中に立ち寄った休憩所で愛娘が怪我をしてしまった。父親のレイは急いで病院に連れて行き、異常がないか検査をすることに。娘は妻の付き添いで検査室に入っていき、レイは待合室で待っていたのだが、いつまで経っても帰ってこない。受付で聞いてみると「そんな人…登録がないし検査室を使った記録も無いですよ」とのこと。何でやねん!病院、何か隠しとるな!?な話

 

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【感想】

ネトフリ配信の単体映画で、病院に連れていった家族が突然いなくなってしまうという消失系ミステリーサスペンス。正直、低能の私ですら最初っから展開は読め読めに読めてしまうものの、全体を包み込む不安定な空気感と伏線らしきセリフ、不穏なカメラワーク、そしてサム・ワーシントンの鬼気迫る演技によって、かなり面白く見れました。全てのカットやシーンに怪しさを持たせたり、鏡の反射をやけに画面上に取り入れることで裏のある含みを持たせる手法など、細部にいたる技が光ってましたね

 

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主役であるレイも最初からすでに怪しさMAXで、何が現実で何が虚構なのかをかなり曖昧にさせてくれる「信頼出来ない語り手」の手法を巧みに利用して、展開が分かってても最後まで気になってしまうストーリーテリングはなかなか出来ることじゃないよな〜と思いました。私は評価がかなり甘いので好みじゃない方もいるかもしれませんが、意外にハズレが多いネトフリ単体映画の中では割と良いほうかと思います。ところで、主演のサム・ワーシントン、過去に2回も逮捕されてるのにちゃんと更生してキャリアを積み直す姿と、それを受け入れてくれる社会は良い

映画感想 - 貞子(2019)

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貞子

★☆☆☆☆

 

【あらすじ】

臨床心理士・茉優の務める病院に、記憶を失った少女が入院してくる。彼女は母親に虐待され、「貞子」と呼ばれ忌み嫌われていた。そんな中、茉優の弟でしょうもないYouTuberの和真がとある火災現場に突撃取材をする動画をUPし、消息を絶った。その動画には、貞子らしき白装束の女が映り込んでおり…?な話

 

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つ、つ、つ、つまら…いや、よそう、こんな結論を出すのは…。今なお色あせない人気を持つ貞子の映画を作りたいという気持ちは分かるんだけど、元祖のインパクトと初見の恐怖はもはやジャパニーズホラーの歴史に残るスーパーレジェンドで、それを超えることは監督中田秀夫本人ですら無理なことは明白なはず…。何故中途半端なシナリオでやろうとする!一応「リング2」の続編ということらしいけど繋がりを持って出てるのは佐藤仁美のみで前提の説明が足りず、恐怖ポイントも少なくて間延びしてる割には個々のシーンのクオリティも既視感があり、貞子の目的ももはや何がしたいのかどうして生まれたのかもブレてて、結局何がしたかったんだ?という印象…う〜ん

 

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何より、出演者の演技がみんなひどかったな…。台本をめちゃめちゃなぞって読んでるお遊戯会を見てるような感じだし、それまでの展開でだいたいお察しできるところも全部セリフで説明しちゃって緊迫感も薄れる、そして人間関係の構築も希薄で、茉優が祠の中で少女を抱きしめながら言った言葉も「そんな関係性築いてたか?」ってなっちゃったかな。そんな感じで1年に1回出るか出ないかの☆1となってしまいましたが、まあ…たまにはこういう日もいいでしょう!

映画感想 - ウィッチ(2015)

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ウィッチ

★★★★☆

 

【あらすじ】

17世紀。ガチのキリスト教信者であるウィリアムの家族は村を追われ、森のはずれの小屋で生活を始めた。作物は育たず狩りに出てもスカンピン。厳しい生活だ。ある日末っ子の赤ちゃんサムが、長女トマシンがあやしてる最中に忽然と消えてしまう。家族は「魔女のせいや…。いや、トマシン、お前が魔女なんちゃうか…?」と疑いをかける。果たしてトマシンは魔女なのか?な話

 

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【感想】

アニャ・テイラー・ジョイさん、やはり可愛すぎる…。そのモチベーションだけで見たんですが、ストーリー、不穏な雰囲気、親も子供も狂ってるレベルでキリスト教を盲信する気持ち悪さ、17世紀の貧しい生活、魔女のビジュアル、やかましすぎる双子など、嫌さがかなり突き詰められたクオリティで、見ているうちに精神がガシガシと削られていきました。特に敬虔すぎる信仰が常人には一切理解出来なくて怖い。「生きている限り罪人だ」とかその他わけのわからねーことをずっと信じていて、何言ってんだよ!!!ってなりました。「ミスト」にしろ「フレイルティー」にしろ、周りが見えなくなるほどに盲信する様子はいつの時代も怖い!

 

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森に潜む魔女との契約を軸にして家族がどんどん崩壊していくという救いようのないストーリーながら、アートの域まで高められたビジュアルがかなり美しく素晴らしく、典型的なビビらせのないホラー描写も上品で、飽きさせない魅力があります。特に中盤で呪われて死んでしまう人物の死に様が今までにみたことがないほど特段に気持ち悪く、「何これ…でも、アッパレ…」と震えと称賛を同時に感じましたね。そして考察の余地を残して不穏しか感じさせない世界観の中で唯一光り輝くアニャさんのかわいさ…。攻守ともにバランスの取れた秀作ですね。アニャさん、今後はもっとコメディ映画とかにも出て欲しい…

映画感想 - ボーダー 二つの世界(2018)

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ボーダー 二つの世界

★★★★☆

 

【あらすじ】

税関で働く醜い容姿のティーナは感情を嗅覚で読み取ることができ、見た目では分からない怪しい奴を検挙していた。そんなある日、勤務中に見るからに怪しい醜い男ヴォーレと出会う。本能的に何かを感じたティーナは同居人の男がいるにも関わらず、離れの小屋に住まわせることにした。ヴォーレとの交流を深めていくことで明らかになる、ティーナの出生の秘密とは?な話

 

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【感想】

北欧のダークファンタジー。このあらすじからは想像もつかないほどに、えげつね〜!きもちわり〜!オゲゲ〜!と叫びたくなる衝撃的な描写がてんこ盛りでした。ヴォーレがとにかく見た目以上に気持ち悪く、木から虫をほじくり出してそのまま食う、◯◯◯が無く◯◯◯がある、◯◯を◯む、など、本当にこちらの想像を超えてヤバい奴で、さらにティーナも「え!?」と叫びたくなる変化も見せてくれて、とにかく精神的にかなりキツイ画のオンパレードでしたね…ウッ

 

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ただ、ビジュアル面で現実からかけ離れた強烈なインパクトがありつつもタイトルの「ボーダー」にもある通り、男女、国境、世界、そう言った様々な境界を曖昧にさせる多くの出来事を経てティーナの決断した生き方には生々しいリアリティとメッセージ性に溢れており、ファンタジックで詩的な世界観なのに社会派な面もあるという、すげ〜話でした。二度は見たくはないけど…強烈だから…。気になったら是非どうぞ

映画感想 - 15ミニッツ・ウォー(2019)

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15ミニッツ・ウォー

★★★☆☆

 

【あらすじ】

1976年、フランス最後の植民地ジブチで小学生を乗せたスクールバスが武装集団にジャックされ、国境近くで籠城した。要求は同志である政治犯の解放と、ジブチのフランス独立。一触即発の空気が漂う中駆り出されたのは、最強のスナイパー軍団だった。膠着状態から徐々に子どもたちも疲弊していく…こうなったら、いっせーので犯人全員ヘッドショット決めたるぞ!!!!な話

 

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【感想】

実話ベースの緊迫サスペンス。開始1分でバスジャックされてあっという間に人質とって籠城!とかなりテンポは良く、そのままスナイパー軍団が派遣されるところまでは流れるような展開で緊迫感が続く!でも作戦決行まで外交との連携が取れずに膠着状態がめちゃめちゃ続いてしまった結果、どれほど対策をしても抗えずにスヤァ…といってしまいました…。ヤードム(鼻からミントの刺激臭を吸って眠気を解消するやつ)をブッ刺して見てもダメでした。すみません…高尚な話なのに…

 

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ただ、このスナイパー軍団が最高にカッコいい!見た目はかなり貧相で、小太りヒゲモジャもいれば「これが終わったらプロポーズする」という今時誰も使わないような死亡フラグを立てる奴など微塵も強さが感じられないんだけど、終盤の戦闘では全員が覚醒して、次々と確実にヘッドショットをキメて一撃で向かってくる敵をぶち殺す!!つ、つええ!!!最高!!気持ちいい〜!!!でもそんなカッコ良さもありつつ、終わってみれば紛争がもたらす誰も幸せにならないやり切れなさも存分に我々に投げかけてくれて、どんな規模でも人と人が戦うのは得は無し!と思いましたね。スナイパー軍団の皆さんは、引退してFPSのeスポーツに参戦してください。この腕前なら世界一獲れる!!

映画感想 - イーライ(2019)

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イーライ

★★★☆☆

 

【あらすじ】

めちゃめちゃ敏感肌すぎて空気に触れるだけでも体が焼けてしまう難病を抱える少年イーライは親子とともにとある施設で治療をしながら暮らすことになった。しかし何かこの施設の職員は怪しく、さらに自分しか患者のいない施設なのに、夜な夜な目に見えない何者かが現れてイーライを驚かせる。果たしてこの施設は何なのか?イーライの病気は治るのか?な話

 

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【感想】

ストレンジャーシングスのマックス役ことセイディー・シンクさん(かわいい)が、マックスとほぼ同じような性格の役で出演してるという理由一本で見ました。ストレンジャーシングス演者の引きは強い。空気に触れるだけで皮膚が焼けるために防護服を着て出歩かなくてはいけない病気のイーライが隔離施設で治療中に幽霊に遭遇するという、かなり乗せすぎな印象のある本作ですが、中盤までは本当に散らかってる印象で、「この病気と施設と幽霊、必然性あるか???」という疑問がずっとチラついてしまってましたね

 

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ホラー描写はそれなりにクオリティも高くて、めちゃめちゃ油断して見てるとビクっとさせてくれてかなり良かったり、どう見ても怪しい施設職員の気持ち悪さと子どもを信じずにそいつらのいうことを聞く父親という味方のいない状況の嫌さもあったり、スポット的に良さが光ってはいるものの、全体のテーマが前述のような繋がりのなさが引っかかって前のめりでは楽しめない感じだったかな〜

 

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で、そうかと思いきや終盤から一気に全然違うコースにハンドルを切りまくってジャンルが全く変わってしまうのはかなり急転直下で驚きました。よくよく振り返ると伏線とかも何気なく張ってしれっと回収したりしてたな〜とはなったけど、とにかく「急〜!」とはなってしまったかな。もっと序盤に違和感を覚えないような演出が施されていればもっと良くなったんだけど…。まあセイディーさんがST後にも元気に活動してくれることがわかるお便り的な映画として見るといいかなと思います。終盤に巻き起こる人の死に方は近年まれに見る最高さではあったのでそこだけオススメ!!

映画感想 - ジェミニマン(2019)

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ジェミニマン

★★★☆☆

 

【あらすじ】

51歳のウィル・スミス!

    VS

23歳のウィル・スミス!

_人人人人人人人人人人人人人_
> レディー、ファイト!! <
 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄

 

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【感想】

映画を愛し、映画に愛されてるので試写会にて。隣の隣の席にトム・ブラウンみちおさんがいました(絶対にィ〜〜)。さてこの映画、まず映像革新がすごすぎる!3D HFRという技術で表現された4K・3D・120フレームの驚愕の映像美!ヨドバシカメラとかのTVコーナーで「うわ〜、めちゃめちゃキレイなサンプル映像!」みたいなやつを見たことがあるかと思うんですが、あの画質で映画一本まるまる作っちゃった感じです。なにそれ!その高精細の画質で普通に歩いてるだけで美しさが先行する!その上で魅せてくれる信じられないバイクチェイスやありえない動きの大格闘、破片の一つ一つまで見えるガトリングガン攻撃!アクション革命が起きてるほどに臨場感に溢れる凄まじい映像は「見ることでしか確かめられない」ヤバさがありました…

 

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そして若いウィル・スミスの映像技術!ウィル・スミスに演じさせて肌を若くしてるとかではなく、過去のウィル・スミスの映像からデータを取り込んで完全なるデジタル加工で若ウィルを作ってるらしいです。「らしいです」と書いたのは、目で見る限りマジでデジタルとは分からない、そこに若いウィル・スミスがいるとしか思えないから。不気味の谷超えてるんですが!?いくら説明を読んでも意味が分からない!本当にそこに存在している!

 

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そんな感じで映画界に激震の走る映像革命って感じで一見の価値ありな感じでした。今後の映画はみんなこんな感じになってくのかな?楽しみですね…って書いておきながら、今日見た環境を再現できる映画館はまだ国内で3つぐらいしか無いんだって!ホゲ〜そんなアホな〜!!そしたら魅力が半減以下になっちゃうよ〜!!近場にその劇場がある方はマジで一見の価値ありです!ちなみにストーリーに関しては映像美が凄まじいあまりそのことに気を取られてしまってそんなに頭に入って来ませんでした。映像革命の弊害…

映画感想 - アヴェンジメント(2019)

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アヴェンジメント

★★★☆☆

 

【あらすじ】

刑務所に服役中だったケインは、母の死を看取るために病院に訪れた際に暴れ回って脱走!そしてたどり着いた会員制バーにカチコミをかけ、チンピラ達にショットガンを突きつける。無計画でやばい暴れん坊かと思いきや、このチンピラを率いる男はケインの兄で、ケインは「兄を呼んでこい!」と叫び続ける。何故ケインは刑務所にいたのか?何故兄を呼びつけるのか…?な話

 

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【感想】

スコット・アドキンスのバイオレンスバトルアクション。男臭く、パワーがほとばしり、筋肉が爆発する!!とにかく8割ぐらい殴り合ってるパワーシーンの目白押し。イップ・マン師匠のようなしなやかな動きもなく、スーパーマンのような超能力もなく、ただただ極限まで鍛えた筋肉で全力でぶつかっていく!その姿、まさに男の究極形態!刑務所に服役しながら何故か他の受刑者から因縁をつけられまくってボコボコにされる日々を跳ね返すために、独房で筋トレをしまくるというあるあるのシーンもあって、憧れるなぁ〜!

 

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ストーリーは時系列の中盤から始まって、「何故服役するハメになったのか?」「何故銀歯になって顔も傷だらけなのか?」「何故ここまでパワーなのか?」「何故脱走して兄を呼びつけるのか?」と回想シーンを織り交ぜて謎を追わせる展開は意外にも緻密な作りでしたね。もう少し人物紹介や名前や相関関係を分かりやすくしてくれるとさらにありがたかったけど、細かいことは気にすんなとばかりに全てパワーパンチで吹き飛ばしてくれるスコット・アドキンスの荒々しさでどうでも良くなりました。ここでも警察は無能!

映画感想 - 愛なき森で叫べ(2019)

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愛なき森で叫べ

★★★★☆

 

【あらすじ】

愛知から上京したシンは偶然出会ったジェイとフカミとともに自主映画制作に参加する。そのタイミングで遭遇した妙子と美津子に出演を依頼するが、二人は高校時代に親友を亡くしたトラウマから抜け出せていなかった。そんな折、村田と名乗る男から「昔かりた50円を返したい」と美津子へ電話が入り、それがキッカケで村田という男に全員が振り回されていく…な話

 

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【感想】

園子温監督のネトフリオリジナル映画。これは…全編に渡って狂気と純粋悪が凝縮されたインパクトに圧倒され過ぎて、見た後に呆然としてしまうくらいでした。すごい…。村田の巧みな話術と人心掌握術により、ふと気がつくと全員がどこにも戻れない地獄にはまり込んでるのに、それに誰にも気付かずまるで最初からこうだったかのような常識感に支配されてるのが気味悪く、こんなんアリ!?てなりました。まるで水の中にカエルを泳がせて徐々に沸騰させていき、温度が上がってることに気づかずに茹でられて死ぬような、そんなイメージでした。序盤は情報量がかなり多くて「何の話?」ってなるかもしれないけど、少し我慢するととんでもない体験が出来るかと思います

 

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個人的な思いとしては邦画やドラマは「セリフくせっっ!!」という感じが嫌でそんなに進んで見ないんだけど、本作のメイン出演者の鬼気迫る演技がとにかく凄まじい!!特に日南響子さんと鎌滝えりさん、演技とは思えない喜怒哀楽の表現、怒涛の口喧嘩、憔悴した顔にクライマックスの目つき…演技もここまで来たかという謎の感動がありました。全裸監督の時の黒木香を演じた森田望智さんもそう思ったけど、日本の若手女優の未来は明るい!

 

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一言いっておくと、かなりハードな残酷描写や「冷たい熱帯魚」ばりのゴア描写、心がコントロールされて理不尽なことも聞いてしまう不快な展開がてんこ盛りなので、視聴の際はご注意いただければ…ただ、それを差し引いてもメチャメチャにすごい映画だったので、一見の価値アリです

映画感想 - イン・ザ・トール・グラス -狂気の迷路-(2019)

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イン・ザ・トール・グラス -狂気の迷路-

★★★★☆

 

【あらすじ】

草むらから、少年トービンの助けを求める声。お腹に子を身籠るベッキーと兄のカルは偶然その声を聞き、草むらに入り探す。しかしその草むらは人地を超えた力に支配され決して出られなかった。そしてベッキーを追いかける男トラビスも草むらに入り、迷い込む。やがてトラビスの耳に聴こえてきたのは、草むらに入ろうとするトービンの声だった。無限ループ!!!な話

 

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【感想】

スティーブン・キング原作で、ヴィンチェンゾ・ナタリ監督脚本のネトフリオリジナル映画。ナタリ氏といえば、みんな大好き「CUBE」で鮮烈デビューを放ったあの人です。その人の新作となっちゃ、見るよな!?「CUBE」は延々と連なる白い部屋に閉じ込められた人々がギャーギャー騒ぐ密室劇の最高峰でしたが、こちらも草むらから出られないという広い意味で捉えれば密室になりますね。この中に入ると空間がねじ曲がり、時間の概念も超越して無限ループに陥り、そして目印をしても草むらの意思で消されてしまい、決して出られなくなるというやばすぎる空間…。この辺りの演出はやはり期待通りでゾクゾクしました。ホラー描写は少ないながらも特徴的なBGMで恐怖を煽ってくるのも良い!

 

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そんな感じでスーパーナチュラルな力に支配された草むらに翻弄される人々はやがて一つのでっか〜い岩にたどり着くんだけど、これが話をさらに複雑に転がしてくれましたね。よくよく考えるとこの辺りの文脈は「2001年宇宙の旅」のモノリス的な意味合いとして捉えれば理解しやすそうでした。そして中盤以降からは岩を中心にかなりスピリチュアルで飛びまくった展開に突き進んでいきながらも、「まあ〜これはこういうことね」と軽く解釈していけばビジュアル面含めて楽しめるかと思います。ただの草むら迷路と思いきや人類の長い歴史に焦点を当て、そこから個人の問題にスイッチさせて手広く描写していく手腕はなかなかでした。さすがヴィンチェンゾ・ナタリ!敬具