映画感想 - バーチャル・ウォーズ(2016)
バーチャル・ウォーズ(原題 Let's Be Evil)
★★☆☆☆
【あらすじ】
ジェニーは闘病中の祖母の医療費をまかなうために、とあるスタッフ募集に応募した。それは政府が管理下にある、最新システムを駆使して子供たちに天才的な頭脳を育成する施設であった。
施設内は常に真っ暗だが、ARグラスを装着することで照明が点いているように見えたり、地図が表示されたり、その他さまざまな拡張現実を駆使して生活する。子どもたちも教科書などはなく、グラスをかけることで見える教材を使って黙々と勉強していた。ジェニーの仕事は管理AIのアリアルの助言のもと、この施設内の監視業務や子どもたちを観察することだった。同じように集められたティグス、ダービーも何だかいい奴だし雰囲気は閉鎖的だけど楽そう。
数日過ごすうちに、緊急事態が発生する。何者かによって施設がハッキングされてしまったようだ。一体どうなる?
【感想】
最近流行りの拡張現実を駆使したパニック系POV。ARグラスをかけることで目の前に地図が表示されたり、仲間とコンタクトをすぐ取れるようになったり、近未来なサイバー感覚がなかなか良かったけど、中盤以降あんまりそれが活かされずにただ逃げ回るだけだったのが残念だったな。VRで描写をもっと出せばよかったのに…。
三人のバイト君の視線ごしにストーリーが展開して、左上に今誰の視線かがすぐ分かるようになってPOV的には分かりやすいとはいいつつ、わたくし自身がそれこそPOV映画を見まくってるのでそこまで大きくテンションは上がらなかったかな。同じくグラスを通したPOVといえば「エルサレム」ってのがあったけど、あれは結構良かったね。
ていうか、邦題、昔同名の映画あったよね。完全に同じだけどいいのかな。
【予告】
【こっちのバーチャル・ウォーズの方が面白そう】
【スマートグラス関連】
【かっこいい色彩感覚関連】
映画感想 - レジデント(2015)
レジデント
★★★★☆
【あらすじ】
デンマークの閑静な住宅街。グスタフは両親と妹の4人でこの犯罪など何もない平和な街で暮らしていたが、不審な死を遂げた老人の死体が消えるという事件があったことから、その日常は静かに崩れていく。その日から何故かパトカーが何台も駆け回り、街全体がただならぬ雰囲気に。
何かが起こっているが、それが住民に教えられることはない。ついには軍隊が出動し、街全体が制限区域となり外出禁止になってしまう。テレビでは謎の病原菌が蔓延していると報じるが、何もかもが分からない。グスタフは軍隊の目をかいくぐって偵察したところ、そこで見たものは病原菌の感染者がまるで物のように殺されていく凄惨な光景であった。一体この街で何が起こっているのだろうか…?お〜こわっな話
【感想】
「未体験ゾーンの映画たち2017」にて鑑賞。北欧産のゾンビホラー映画。最近では「アイアムアヒーロー」やらこの夏に公開される「新感染 ファイナルエクスプレス(釜山行き)」などガチなものから「ゾンビーワールドへようこそ」、「デビルズメタル」といった笑いに寄ったものなど、ゾンビというジャンルで様々な形がありましたけども、こちらの「レジデント」はどちらにも属さない「何が起きてるか全く分からないけど確実に何かが進行している」という点を突き詰めた暗い雰囲気に包まれたシリアスで新鮮なゾンビものでした(ゾンビは腐ってるけど)。
グロい描写はほとんど無い、軍隊がバリバリ活躍してゾンビをぶっ殺しまくることもない、主人公のカリスマ性で住民を率いて対決する構図もない、それどころかゾンビの姿すらほとんど出ないという「ゾンビ映画とは何か」と考えさせられる思い切った手法が取られていながら、水面下でジワジワと平和な街が確実に崩壊していき、人々がなす術なく絶望的な状況に堕ちていく描写はなかなかの怖さがありました。派手なゾンビものを期待しているとものすごくガッカリするかもしれないけど、こういうシリアスなテイストもまたありじゃない!?そう思わせてくれますよ。ダマされたと思って是非ご覧くださいませ。しかし光に反応する習性を持ったゾンビ達をある手法で注目させて逃げる終盤のシーン、めちゃ美しかったな〜。
【予告】
映画感想 - スケア・キャンペーン(2017)
スケア・キャンペーン
★★★★☆
【あらすじ】
ドッキリ番組「スケア・キャンペーン」は一般人をドッキリにはめて驚かす人気番組だが、最近の過激なネット動画に押され気味で視聴率は低下の一途をたどっていた。プロデューサーのマーカスはこれはアカンと一念発起。児童施設跡の廃屋にドッキリのセットと隠しカメラを仕込んで、いつもよりグレードアップしたセットやギミックでいざ被験者を誘い込む。ターゲットは庭師として働くためにここに来たローハン。しかし彼はマジの殺人鬼で、次々とスタッフを惨殺していくのであった…一体どうなる!?
【感想】
「未体験ゾーンの映画たち2017」にて鑑賞。「ドッキリにハメた人が実はリアルガチの殺人鬼!」というバカバカしくもありそうで無かった設定がまず興味をそそりつつ、話が進んでいくと当初の状況から二転三転、いや四転五転するツイストが気持ちいい力作でした。ローハンが次々とスタッフをぶっ殺していく様はスカっとしつつも、そこからさらに「こうなるの!?」というような驚きに満ちた展開に。リアリストの皆様におかれましては「アホくさ〜!」と思ってしまいそうだけど、こういうのを楽しまないとね…それが映画の良さだから…。
スラッシャー描写にはけっこう力が入っていて、顔面にナイフが貫通したり、顔面の上半分がスパッと斬れたり、チェーンソーで切り刻まれたりとファンタスティックでなかなか抜かりは無かったな。最後のシーンこそもっと見せて欲しかったけど…。とりあえず、どこまで現実でどこまでドッキリなのかが曖昧になって最悪な状況に引き込まれていく地獄絵図を飽きさせることなく80分程度でスパッと簡潔に楽しめたのでオススメです。
【予告】
映画感想 - ナーヴ 世界で一番危険なゲーム(2016)
ナーヴ 世界で一番危険なゲーム
★★★★☆
【あらすじ】
好きな人に好意を伝えられない程度には奥手の高校生ヴィーナス(ヴィー)は、最近流行りの裏オンラインゲーム「ナーヴ」に挑戦する。
「ナーヴ」とは、挑戦者が視聴者から送られてくる様々なミッション(ネット上ではなく街なかでやらなければならないもの)をクリアすることができれば賞金を獲得、無茶なミッションをやればやるほどフォロワーがついて人気者になっていくというゲーム。はじめは「知らない人と5秒キスせよ」という簡単なミッションをさくっと終わらせたヴィーだったが、その挑戦の中で知り合ったイアンというイケメンとひょんなことからコンビを組んで、どんどん危険なミッションに踏み込んでいくようになる。一回きりでやめるつもりだったのに〜!果たしてこのナーヴの終着点とは…?
【感想】
これ、良いですよ…。内気な女の子がナーヴを通して自分の殻を破って本当の自分に成長していく物語でありながら、全然説教臭くなくとにかくエンタメに振り切った仕上がりで、最高にちょうどいいデートムービーだな〜と思いました。「目隠しでバイクにのって90km以上出せ」というミッションで、イアンが目隠ししてヴィーが目となってスリリングに疾走する…これ完全に吊り橋効果やんけ!そして達成できた時の安堵感はものすごいし、案の定二人もいい感じになるし…というとても分かりやすいやつです。
↑下着姿で店を抜け出さざるをえなくなった二人。このシーンも良い
視聴者はミッションをコントロールできるので、別の人が挑戦するミッションが自分に影響したり、という多重構造になりつつ最終的な優勝者を決めるというシステムもなかなか楽しい。ストーリー自体はまあ大きなどんでん返しは無いものの最後まで上手くまとまっているし、流血・グロ無しなので安心して見れますね。よくロシアのバカがやってる高層クレーンにぶら下がる…みたいなミッションではいきなりPOV視点になるのでスリル満点。
あと、挑戦者は時には犯罪レベルのミッションも課せられて、完遂したい思いが先立ってやらかしてしまったり、視聴者も自分たちが課したにもかかわらず全く罪悪感なく傍観してしまっているのも、現代のインターネットの闇を象徴していたかな。
そんな闇はありつつも、挿入される曲も全曲めちゃめちゃセンスが良くて「この曲よくな〜い?」ってなるうえに、美しいネオンが光るサイバーな色彩感覚や、PCやスマホ画面をうまくスクリーンに融合させた映像センスも抜群。さらに主演のエマ・ロバーツどのも、むっちゃ可愛いです…それはもう最高に…。そんな感じでどこまでもポップに目、耳、脳を刺激してくれる素晴らしいエンタメムービーとなっておりますので、ちょっと気になる女の子がいる男子諸君におかれましては、今すぐ「女どの、ナ、ナーヴという映画をご存知でござるか…?ちょ、ちょ、ちょうどチケットが余っておりまして…」と誘ってみてはいかがでしょうか。きっとその恋は成就することでしょう…(無責任なことを言いました)。
【予告】
今年130本近く映画見たので、よかったやつ挙げます
今年も良い映画がたくさんありましたね。気付いたら130本ぐらい見てたので、その中でも良かったやつを挙げます(今年公開の映画ではなく、私が今年見た映画です)。レンタルされてるやつがあったらこの年末年始に見てみてください。
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映画感想 - 死霊館 エンフィールド事件(2016)
死霊館 エンフィールド事件
★★★★☆
【あらすじ】
エンフィールドの一角に住むシングルマザーと4人の子供たちが貧困にあえぎながらも仲良く暮らしていた。そんなある日、家で様々な怪奇現象が起こり、娘のジャネットもおかしな言動を発したりするようになった。いよいよヤバイ感じになってきたので超常現象研究家のウォーレン夫妻が様子を見ることに…。
【感想】
ジェイムズ・ワン監督のホラー。パワー、パワー、とにかく5分に1回ビビらせるパワーで畳み掛けてくる良作であった。逆にのっかってやろうと思って、↑のようなホラー映画でよく見るベタなシーンとかで自ら「えっ…!?ふえええ…」と声に出してわざとビビってみると何か怖さが増大しました。この方法、オススメです。その後普通のビビらせシーンで反射的に声を出してしまうぐらいになったし(へへへ…かわいいやろ?)。
一番笑ったのはこのシーン。それまでに壁に映った黒い影だけがゆっくりとこの絵まで歩いて重なるまでも「来るぞ…来るぞ…」っていう気分になってからのこれですからね。この来るべくして来るビビらせと、タイミングをずらしたビビらせの配分がお見事で、気が休まることはなかった。さすがのジェイムズ・ワン。
とにかく濃厚にビビらせを凝縮させつつもストーリーもそれなりに楽しめるのが良いです。エド・ロレイン夫妻の信頼関係が美しいし、一番の被害者であるジャネットどのもめちゃ可愛いし。取り憑かれる役、かなり大変だよな〜とこの手の映画を見ていつも思うんだけど、こちらもまたなかなかすごい取り憑かれ方してました。グロ描写は無いのでそっち方面が苦手な人もかなり楽しめますので年の瀬にどうぞ。実話らしいしね。
【予告】
映画感想 - シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア(2014)
シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア
★★★★★
【あらすじ】
ディアゴ(379歳)、ヴィーコン(183歳)、ヴラド(862歳)、ピーター(8000歳)の四人はニュージーランドのシェアハウスで暮らすヴァンパイア。夜になると起きてきて、共同生活のルールを話し合い、楽器を演奏したり変なダンスをしたり、バーに遊びに行くなどかなり愉快な生活をしている。ある日、人間のニックをヴァンパイアに変えてしまい、さらにその友達のスチューを人間のままシェアハウスに招き入れる。果たして四人はどうなる?
【感想】
NETFLIXで見れるんですけど、皆さん、加入してまだこれ見てなかったら今すぐ見た方がいいですよ。面白すぎるので…。まずヴァンパイア四人がお気楽過ぎて最高で、映画の体裁としてはその生活を取材クルーが密着してるんですよね。だから言ってしまえばPOV的な意味合いになるかな。各ヴァンパイアに話を聞いたり、私生活を撮影したりするのを見るのがほんとに楽しくて、今すぐ入居したくなるぐらい。
さらにヴァンパイアの他にも、オオカミ男やゾンビなども普通に人間の世界に溶け込んでいてそれぞれのコミュニティを形成しているという設定もなかなか良かった。オオカミ男の集団とすれ違ってケンカ吹っかけるが意外とオオカミ男が穏健派だったり(ナメられて枝を投げられたら犬の習性で取りに行ってしまうところも可愛い)。
お気楽に暮らしていながら、結局は不老不死なのでせっかくできた友達も先に死んでしまう、でもそこは受け入れて生きていかねばならない…というちょっとつらい側面で深みを持たせて、余計にこいつらのことがどんどん好きになっていく…ドラマシリーズ化してくれ…と願わずにはいられない傑作でした。ヴァンパイアがふわふわと浮かぶ描写は「インセプション」の夢の中を彷彿とさせて良いです。
ともかく、まじで最高で早く見ればよかったと後悔するぐらい良いものだったので、是非ともご覧ください。
【予告】
映画感想 - 呪われた家に咲く一輪の花(2016)
呪われた家に咲く一輪の花
★★☆☆☆
【あらすじ】
有名ホラー小説家のブラム夫人の家に住み込みで世話をすることになった看護師のリリー。しかしこの家には、何かがいる…。
【感想】
NETFLIXオリジナルのジワジワくるホラー。どちらかというとジャパニーズホラー的な「何かがいる」感を極限まで高めた、静かなトーンで進んでいくやつ。合間にブラム夫人の小説のフレーズや、詩的なモノローグ、そしてゆっくりゆっくり展開していくので派手な爆発やスプラッターを求めている人にはかなり退屈かもしれない。かくいう私もそこまでハマることはなく…。
具体的にお化けが出てくる描写は少ないものの、終始いるいる感と不穏な空気を出すのがとてもうまい印象。TVの砂嵐、引っ張られる電話のコード、そして壁の中の何か、シミ…静謐感の中にある恐怖もありっちゃありかと思います。次はバランスを合わせるために大爆発して巨大ゾンビが出てくる映画を見ようかな。
【予告】
【静かなホラー関連】
映画感想 - ロスト・バケーション(2016)
ロスト・バケーション
★★★★★
【あらすじ】
休暇を利用して亡き母が教えてくれたメキシコの名も無きビーチにやってきた医大生のナンシー。父と妹の世話、勉強漬けの日々から解放されるようにサーフィンを満喫するが、やばいサメが出てきて岩礁から動けなくなってしまった。下手に泳いで逃げようとしても確実に食い殺される〜!助けてくれ〜!
【感想】
サメ映画といえば最近は竜巻に乗って街に降り注いだり、タコと合体したり雪山に出たりと創意工夫がなされてますが、こちらはキャスト一人、舞台動かず、怖すぎるサメ一頭だけで90分近くやるという超マジメで緊迫感と恐怖感にあふれた良作でした。まず何と言っても主演のブレイク・ライブリーさんが最高にかわいい。
おきゃわの権化かって。かつセクシーかつ母を亡くして家族の世話と勉強漬けの毎日に追われてるという泣ける設定。そんな献身的な女の子がサメに噛まれて岩礁に避難する!やめてくれやめてくれ〜!食べたら完全にうまそうだけど〜!と一気に入り込むことができます。そして見終わるころには完全にブレイクさんのファンになって画像検索しまくることは避けられないですね。
医大生なのでピアス、アクセサリー、ラッシュガードの袖など今のそこにあるものを使って適切な応急処置をする描写も、設定が活かされていてすごく良かったな。さらに「母が病魔と闘った」という過去もめちゃくちゃしぶとく生き残る理由の一つとして機能しているのもグッド。
サメに襲われて少し怪我をしたカモメ(かわいい)もついでに治す優しさ。このカモメもサブキャラっぽい位置に上がっていく様子も話が単調にならない感じだったね。キャスト・アウェイのバレーボールのように、こういうの良いよね(キャスト・アウェイ見てないけど)。
肝心のサメはもちろん超絶凶暴でめちゃくちゃ盛り上げてくれるんだけど、1時間近くハッキリとビジュアル映らないんですよね。まあサメって分かりきってるからこそ、どこに潜んでいるかわからない恐怖感を煽りつつ、ここ!というタイミングでどや!と出てくる潔さもバランス感覚に優れてるな〜と思った。飽きさせない魅力に作れる監督の手腕がすごいので調べたら、超おもしろホラー「エスター」も作ったジャウマ・コレット=セラ監督で、たいへん納得した次第。ワンシチュエーションもののジャンルではかなりクオリティ高く、安心してみることができてオススメです。ブレイク・ライブリーどの〜〜〜〜!
【予告】
映画感想 - ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー(2016)
ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー
★★★★★
【あらすじ】
エピソード4の10分前までの物語。帝国軍が作り出した超兵器要塞「デス・スター」。建設者のゲイレン・アーソは密かに帝国軍に反発しており、極秘裏にデス・スターの弱点を作っていた。そしてゲイレンの娘ジンとその仲間たちがその重要データと設計図を決死の覚悟で奪還する話
【感想】
エピソード4の冒頭のあらすじでたった一文「反乱同盟軍のスパイが帝国の誇る宇宙要塞である初代デス・スターの極秘設計図を密かに盗み出す事に成功した」で完結していたところをシッカリと補完する外伝的エピソード。と見せかけて、今までのシリーズでも屈指の痛ましい戦争描写のオンパレードでなかなかシビアだったけど、結果的にはめちゃめちゃに面白い傑作であった…。バッタバッタと人が死ぬけど、全て名誉の戦死…誇り高く自分たちができることを全うし、希望を絶やさず死ぬ…この気高さ!!胸が熱くなることは必至。あの一文にこんなに犠牲があったんかいと思うと、この極秘設計図の重み、とんでもないものですね…。
中でもフォースを信じて疑わない盲目バトル僧侶のチアルート(ドニー・イェン)が最高すぎた。自分にフォースの力はないけど、いつかフォースが自分たちを導いてくれる…という信念が皆を突き動かす原動力の一つとなる流れがも〜〜ね。はい、最高。それだけ。ただ前半30分めちゃめちゃ情報量多いのと誰が誰か全くわからず完全に寝ました。すいません。
【予告】